機械保全技能士の実技試験|作業ごとの内容と対策の立て方

機械保全技能士の実技試験の内容と対策を作業ごとに紹介する記事のアイキャッチ。練習用の盤と機械部品が並ぶ作業台

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学科の勉強はなんとなくイメージできても、『実技って何をするの?』と不安になりますよね。作業によって試験の形がまったく違うので、ネットの情報を見ても自分に当てはまるのか分からない方も多いはずです。

結論から言うと、機械保全技能士の実技は「写真や模型を見て判断する試験」「実際に配線する試験」「紙面で計画を立てる試験」の3つの形に分かれます。自分の作業がどの形かを先に確かめれば、対策の立て方はぐっと絞れます。

この記事では、作業ごとの実技の内容と、形に合わせた対策の進め方をお伝えしますね。

目次

機械保全技能士の実技試験の内容は作業で決まる

先に結論

JIPMの試験要項では、機械系保全作業と設備診断作業は判断等試験、電気系保全作業は製作等作業試験、特級は計画立案等作業試験です。課題の数と時間も、作業と等級で変わります。

機械保全技能検定は、日本プラントメンテナンス協会(JIPM)が厚生労働大臣の指定試験機関として行っている国家検定です。特級以外は、作業を選んで受けます。

JIPMの試験要項に載っている実技試験の形を、等級と作業ごとに表にしました。

等級・作業実施方法と課題数解答方法試験時間
特級計画立案等作業試験 10課題マークシート方式150分
機械系保全作業 1・2級判断等試験 8課題マークシート方式80分
機械系保全作業 3級判断等試験 7課題マークシート方式70分
電気系保全作業 1・2・3級製作等作業試験 2課題作業採点(一部マークシート方式)110分
設備診断作業 1級判断等試験 10課題マークシート方式100分
設備診断作業 2級判断等試験 8課題マークシート方式80分

『実技なのに、マークシートなの?』と意外に思う方もいますよね。実は、手を動かして作業をするのは電気系保全作業だけで、ほかはマークシートで答える形なんです。

3級には設備診断作業がないので、3級で選べるのは機械系保全作業と電気系保全作業の2つです。作業そのものの違いは機械保全技能士の種類で比べています。

合格基準は「減点40点以下」

JIPMの試験要項では、実技は「減点法で41点以上の減点がない場合に合格」です。100点から減点していくので、減点が40点以下なら合格になります。

正答以外の解答は、不正解だけでなく空欄や記入ミスも減点の対象です。設問ごとの配点は公開されていません。

よくある失敗

分からない課題を空欄のまま出してしまうことがあります。空欄も減点されるので、迷った時もいちばん近いと思う答えを書いておきましょう。

実技を3つの形に分けて比べる

ここでの結論

実技は、見て判断する「判断等試験」、手を動かす「製作等作業試験」、紙面で考える「計画立案等作業試験」の3つの形に分けると、練習のしかたが見えてきます。

作業の名前だけで実技を考えると、何を練習すればいいかがぼやけてしまいますよね。そこで、JIPMの定義をもとに、実技を3つの形に分けて比べてみました。比べる観点は、この記事で独自にまとめたものです。

比べる点判断等試験製作等作業試験計画立案等作業試験
対象の作業機械系保全作業・設備診断作業電気系保全作業特級
JIPMの説明(要旨)原材料・標本・模型・写真・ビデオなどで状態を示し、判別・判断・測定をさせる物の作製・組立て・調整などを実際に行わせる現場の課題を表・グラフ・図面・文章で示し、計算・計画・予測をさせる
主に使う力見分ける力と知識手を動かす技能と時間の管理読み解く力と計算
練習の中心部品や不具合の写真・実物を見て答える試験と同じ条件で配線を繰り返す管理の手法を使って課題を解く
電卓設備診断の実技だけ使える使えない使える
機械保全技能士の実技試験を、判断等試験・製作等作業試験・計画立案等作業試験の3つの形に分けて、対象の作業と練習の中心を比べた図解

電卓は、JIPMの「電卓(計算機)の使用について」で、設備診断作業の実技と特級の実技だけで使えるとされています。四則演算などの標準的な電卓に限られ、関数電卓やプログラム機能付きの物は使えません。

特級の計画立案等作業試験

特級の実技は、工程管理・品質管理・原価管理など7つの分野から、紙面の課題で出題されます。机の上で、職場の問題を読み解いて答える試験です。

特級の詳しい中身は機械保全技能士特級とはで紹介しています。

判断等試験(機械系・設備診断)の対策

ここでの結論

機械系保全作業と設備診断作業の実技は、写真や模型などで示された状態を見て判断する試験です。JIPMは実技の写真や図版を公表していないので、出題例で範囲をつかみ、実物や教材で見分ける練習をするのが基本です。

判断等試験は、見たことがある物ほど早く正確に答えられる試験です。職場や実習で実物に触れている方は、それだけで有利になりますよね。

機械系保全作業の実技で問われること

JIPMの「3級 機械系保全作業 実技試験の出題について」では、3級の範囲を次の3つとしています。

  • 機械の主要構成要素に生ずる欠陥の発見
  • 機械の異常時における対応措置の決定
  • 潤滑剤の判別

過去の出題例として挙がっているのは、ボルト・ナット、潤滑油、工具・測定器、空気圧装置、軸受、ねじ、キー・ピン、密封装置、弁(バルブ)に関する問題です。

1級の資料では、これに機械の保全計画の作成が加わります。欠陥の発見の細目には、焼付き・異常摩耗・破損・過熱・発煙・異臭・異常振動・異音・漏れ・亀裂・腐食が並んでいます。

等級機械系の実技意識したいこと
3級判断等試験7課題・70分部品の名前と、よくある不具合を結びつける
2級判断等試験8課題・80分不具合の原因と対応まで答えられるようにする
1級判断等試験8課題・80分保全計画や故障傾向の分析も視野に入れる

等級ごとの練習の順番は、機械保全技能士3級の実技対策、機械保全技能士2級の実技対策、機械保全技能士1級の実技対策で紹介しています。

設備診断作業の実技で問われること

設備診断作業は1級と2級だけで、1級は10課題・100分、2級は8課題・80分です。1級の資料では、測定データの収集、転がり軸受や歯車の損傷解析、ひずみゲージによるストレス解析、診断結果に基づく処置などが挙がっています。

設備診断の実技では電卓が使えるので、計算を含む課題にも備えておきましょう。詳しくは設備診断作業とはで紹介しています。

判断等試験の練習の進め方

判断等試験の練習の順番
  1. JIPMの公式サイトで、受ける作業の出題例(問題概要)を確かめる
  2. 出題例に出てくる部品や不具合を書き出す
  3. 書き出した物を、職場の実物や教材の写真で見て名前を言えるようにする
  4. 不具合ごとに、原因と対応をセットで覚える
  5. 時間を計って、課題の数だけ答える練習をする

例えば軸受なら、「焼付き」と聞いて写真の見た目と原因、対応がすぐに浮かぶ状態を目指します。職場で先輩にこう聞いてみるのも効果的です。

「この軸受、交換した時はどんな状態でした?」
「回すと音が大きくなってたな。触ると少し熱も持ってたよ。」

こうした会話で覚えた物は、写真で見た時にも思い出しやすくなります。

判断等試験の当日の流れ

JIPMのよくあるQ&Aでは、実技の集合時刻は、3級の機械系保全作業が13時15分、3級以外の機械系保全作業と設備診断作業が14時15分です。学科が午前、実技が午後の流れになります。

等級・作業実技の集合時刻集合から終了までの目安
3級 機械系保全作業13時15分約90分
1・2級 機械系保全作業、設備診断作業14時15分受検票などで確かめる

『学科が終わってから、実技まで頭が持つかな』と心配になる方もいますよね。昼の休憩で、出題例のメモを見返す時間を取っておくと、気持ちを切り替えやすくなります。

製作等作業試験(電気系)の対策

ここでの結論

電気系保全作業の実技は、試験用の盤に実際に配線する作業試験で、問題は試験の前に公式サイトで公開されます。公開された問題を、本番と同じ条件と時間で繰り返し練習するのが中心になります。

電気系保全作業の実技は、手を動かす唯一の作業試験です。実は、問題が先に分かるぶん、どれだけ練習を積んだかがそのまま結果に出やすいんです。

課題と時間

JIPMの「2026年度 電気系保全作業 実技試験の概要」では、課題は2つです。課題1は標準時間50分・打ち切り60分、課題2は標準時間30分・打ち切り50分とされています。

項目1・2級3級
課題課題1・課題2の2課題課題1・課題2の2課題
会場で用意される物試験用盤(表示ランプ・押しボタンスイッチ・リレー・タイマなど)と支給材料試験用盤と支給材料
受検者が持っていく物PLC(プログラマブルコントローラ)とプログラミングツール(パソコン)2番の十字ねじ回し、ニッパ、ワイヤストリッパ、ラチェット付き裸圧着端子用圧着ペンチ、回路計

支給材料は、KIV線とY型裸圧着端子です。集合から終了までは、案内によって150〜180分程度とされています。

問題は事前に公開される

JIPMの試験要項では、電気系保全作業の実技試験問題は事前に公式サイトに掲載されます。2026年度第2回では、事前公開用の試験問題が11月2日(月)10時に公表される予定で、受検者への送付はありません。

一方で、電気系の実技は作業試験のため、正解は公表されません。自分の配線が正しいかは、回路図と照らし合わせて確かめることになります。

電気系の実技の練習チェック
  • 公開された問題の回路を、図を見ずに説明できる
  • 本番と同じ工具や機器で練習している
  • 課題1を打ち切り時間の60分以内に終えられる
  • 配線の後に、回路計で確かめる手順を決めている
  • 1・2級ならPLCのプログラムを時間内に入力できる

電気系の練習の進め方は、電気系保全作業の実技対策で詳しく紹介しています。

練習の時間をどう確保するか

電気系の練習には、試験用盤に近い練習台と工具が要ります。職場に練習用の盤があるなら、使える時間を上司や先輩に相談してみてください。

「試験前の休日に、練習用の盤を使わせてもらえますか?」
「いいよ。片付けまでが練習だと思ってやってみて。」

学生の方は、学校の実習の時間や設備を使えるかを先生に確かめておくと安心です。

電気系の実技の日程

2026年度の電気系の実技は、ほかの作業と別の日程で行われます。第1回(3級)は2026年6月6日から7月5日の間でJIPMが指定する日、第2回は2026年11月28日から2027年2月21日の期間内の土日です。

試験日は事務局が決めて、受検票で知らされます。日程全体は機械保全技能士の試験日と年間スケジュールで確かめてみてください。

実技の過去問・問題集・テキスト・講習の選び方

ここでの結論

実技の過去問は、JIPMの公式サイトで問題の概要と正解が公開されていますが、機械系と設備診断の写真や図版は公表されていません。足りない部分は、市販の問題集やテキスト、職場の実物、講習で補います。

『実技の過去問を探したけど、写真がない』と戸惑う方は多いですよね。JIPMの過去の試験問題のページでは、機械系保全作業と設備診断作業の実技試験資料(写真や図版など)は「検定秘」のため公表していないとされています。

そこで、実技の教材を入手先ごとに比べてみました。

入手先実技で使えるもの気をつけたいこと
JIPMの公式サイト問題の概要と正解、出題例、電気系の事前公開問題機械系・設備診断の写真や図版はない
市販の問題集・テキスト部品や不具合の写真と解説内容は公式に保証されたものではない
職場の実物交換した部品や点検中の設備社外に持ち出さない
講習実物を使った練習や指導内容や費用は主催者によって違う
機械保全技能士の実技の教材を、公式サイト・市販の問題集・職場の実物・講習の4つの入手先に分けて使い方を示した図解

過去問全体の探し方は機械保全技能士の過去問はどこで見る?で紹介しています。

実技の問題集とテキストの選び方

実技の問題集を選ぶ時は、写真が多く、不具合の原因と対応まで解説されている物が使いやすいです。JIPMの公式サイトにも、過去問題を載せている書籍などの紹介ページがあります。

ただし、紹介ページの書籍についても、内容は事務局が保証するものではないと明記されています。迷った所は、職場の先輩やテキストで確かめるようにしましょう。

実技の講習を探す

JIPMのよくあるQ&Aでは、JIPMはテキストの発行や対策講座を行っていないとしています。実技の講習は、民間の団体や職業訓練法人などが開いている物を探すことになります。

JIPMの公式サイトでは、厚生労働省認定の「ものづくりマイスター」による実技指導も紹介されています。各都道府県の地域技能振興コーナーに相談でき、派遣の費用は原則無料とされています。

講習と独学の比べ方は機械保全技能士の講習会・通信教育で紹介しています。

一部合格の扱い

JIPMの試験要項では、学科か実技の片方だけ合格した場合、次回から同じ作業でその試験が免除されます。1級・2級・3級の一部合格の効力に期限はありません。

実技だけ残った方は、次の回は実技の練習に集中できます。詳しくは機械保全技能士の学科免除・一部合格で紹介しています。

実技の力を仕事でも活かす

実技で身につけた見分ける力や配線の技能は、そのまま保全の現場で役立ちます。今の職場で上の級を目指すのも、十分に意味のある道です。

そのうえで、設備の種類が多い工場で経験を広げたい方や、資格を評価してくれる職場を比べたい方は、メーカーの保全求人を見比べてみると選択肢が広がりますよ。

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実技試験でよくある相談

この章について

質問サイトでよく見かける相談を、内容を要約して紹介します。

相談1「昔は油の粘度を当てる問題が出たらしいけど、今の実技はどんな感じ?」

以前は実際に油を見て粘度を当てる問題が出たと聞いたけれど、今の実技はどうなっているのかという相談です。同じことが気になっている方も多いはずです。今の機械系保全作業の実技は、JIPMの説明では写真や模型、標本などで状態を示して判断させる判断等試験です。

範囲には今も「潤滑剤の判別」が入っていて、1級の細目には潤滑剤の種類・粘度・劣化の程度・混入不純物が挙がっています。出し方が変わっても、潤滑の知識が問われることは変わりません。

相談2「1級の実技は、すきま時間にどう勉強すればいい?」

1級の実技を受けるけれど、学科のような問題アプリがなく、休憩時間やすきま時間の勉強のしかたに迷うという相談です。判断等試験は見分ける力が大切なので、写真の多い教材を持ち歩いて、部品と不具合の名前を言う練習が向いています。

自分で撮った職場の部品の写真を見返すのも一つの方法です。ただし、社外秘の設備を撮る時は職場のルールを確かめておきましょう。

相談3「軸受や歯車の損傷の原因と対策が覚えられない」

2級の実技で、軸受の損傷や歯車の損傷の原因と対策が覚えられないという相談です。損傷の名前だけを覚えようとすると、似た言葉が多くて混ざりやすくなります。

「見た目」「原因」「対策」の3つを1枚の表にまとめて、写真と並べて覚えてみてください。職場で交換した部品があれば、実物と表を見比べると記憶に残りやすくなります。

覚える順番やること
見た目写真や実物で、損傷の特徴を言葉にする
原因なぜその損傷が起きたかを1つに絞って書く
対策原因に合った対応を1つ書く

よくある質問

機械保全技能士の実技試験はどんな内容ですか?

作業によって違います。機械系保全作業と設備診断作業は写真などで判断する判断等試験、電気系保全作業は配線などを行う製作等作業試験、特級は紙面で計画を立てる計画立案等作業試験です。

機械保全技能士の実技の過去問はありますか?

JIPMの公式サイトで問題の概要と正解が公開されています。機械系と設備診断の写真や図版は公表されておらず、電気系は正解が公表されません。

実技の合格基準は何点ですか?

減点法で41点以上の減点がない場合に合格です。100点から減点していくので、60点以上が残れば合格になります。

電気系の実技問題は事前に分かりますか?

分かります。電気系保全作業の実技試験問題は、事前に公式サイトに掲載されます。

実技の講習はJIPMで受けられますか?

JIPMは対策講座を行っていません。民間の団体などの講習を探すか、ものづくりマイスターの実技指導を地域技能振興コーナーに相談する方法があります。

まとめ

この記事の要点
  • 機械保全技能士の実技は、判断等試験・製作等作業試験・計画立案等作業試験の3つの形に分かれる
  • 合格基準は減点40点以下で、空欄や記入ミスも減点の対象になる
  • 機械系と設備診断は、出題例で範囲をつかみ、写真や実物で見分ける練習をする
  • 電気系は公開された問題を、本番と同じ条件と時間で繰り返し練習する
  • 写真や図版は公表されないので、問題集・職場の実物・講習で補う
機械保全技能士ドットコム

機械保全技能士ドットコム 編集部

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