機械保全技能士の種類|機械系・電気系・設備診断の違いと選び方

機械保全技能士の種類である機械系・電気系・設備診断の違いと選び方を紹介する記事のアイキャッチ。実技練習用の盤と工場の設備

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機械保全技能士を受けようと調べたら、機械系・電気系・設備診断と種類が分かれていて迷った。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、機械保全技能士の種類は「作業」の違いで、機械系保全作業・電気系保全作業・設備診断作業の3つがあります。学科は共通の科目が多いのですが、実技の形がまったく違うので、今の仕事と重なる作業を選ぶのが近道です。

この記事では、3つの作業の違いを比べたうえで、自分が受ける作業を選ぶ判断表をお伝えしますね。

目次

機械保全技能士の種類は?等級と3つの作業

先に結論

機械保全技能士は、等級(特級・1級・2級・3級)と作業(機械系・電気系・設備診断)の組み合わせで種類が決まります。特級は作業の区分がなく、設備診断作業は1級と2級だけです。

『機械保全技能士って、何種類あるの?』と聞かれると、少し答えにくいですよね。等級と作業の2つの組み合わせで考えると分かりやすくなります。

JIPMの試験要項では、特級以外は選んだ作業ごとに試験を行うと書かれています。表にすると次のとおりです。

作業特級1級2級3級
機械系保全作業作業の区分なしありありあり
電気系保全作業作業の区分なしありありあり
設備診断作業作業の区分なしありありなし

つまり、一般の受検者が受けられる組み合わせは、特級を入れて9種類です。このほか、外国人技能実習生を対象にした基礎級などもあり、こちらは機械系保全作業だけで行われます。

合格すると「2級機械保全技能士 電気系保全作業」のように、等級と作業を合わせて名乗ります。どの作業に受かったかも資格の大事な一部なんです。

学科は共通、実技は作業ごとに違う

学科の科目は、どの作業でも機械一般・電気一般・機械保全法一般・材料一般・安全衛生が共通です。そこに、選んだ作業の保全法(機械系保全法・電気系保全法・設備診断法)が1つ加わります。

一方の実技は、作業ごとに試験の形そのものが違います。ここが、種類選びでいちばん大事なところです。

学科の科目機械系を選んだ場合電気系を選んだ場合設備診断を選んだ場合
機械一般・電気一般出る出る出る
機械保全法一般・材料一般・安全衛生出る出る出る
選択科目機械系保全法電気系保全法設備診断法

『機械系を選んだら電気の問題は出ないの?』と思うかもしれませんが、電気一般はどの作業でも出ます。逆に電気系を選んでも、機械一般の問題は出るということですね。

等級の違いを知りたい方へ

この記事は作業の種類の違いが中心です。1級・2級・3級・特級の違いは機械保全技能士の1級・2級・3級・特級の違いで比べています。

機械系と電気系、設備診断の違いを3つの軸で比べる

ここでの結論

3つの作業は「扱う対象」「実技の形」「仕事が近い職場」で比べると違いがはっきりします。機械系は部品の状態を見て判断し、電気系は回路を実際に組み、設備診断は測ったデータから設備の状態を読み解きます。

機械保全技能士の機械系と電気系の違いは、扱う対象と実技の形に表れます。設備診断も加えて、3つの軸で並べてみました。

比べる軸機械系保全作業電気系保全作業設備診断作業
扱う対象軸受・歯車・ボルトなどの機械の部品、潤滑剤リレー・タイマ・PLCなどの制御回路振動などの測定データ、軸受や歯車の損傷
実技の形判断等試験(写真や標本などを見て判断し、マークシートで答える)製作等作業試験(盤に実際に配線して回路を組む)判断等試験(データや状態を見て判断し、マークシートで答える)
実技の時間3級70分、1・2級80分1〜3級とも110分2級80分、1級100分
実技問題の公開出題例を常時掲載試験問題を事前に掲載出題例を常時掲載
仕事が近い職場機械の点検や部品交換が多い職場制御盤や配線、シーケンス回路を扱う職場設備の状態を測って傾向を見る職場
機械保全技能士の機械系・電気系・設備診断の3つの作業を、扱う対象・実技の形・仕事が近い職場で比べた図解

「仕事が近い職場」は、試験の範囲から読み取った目安です。実際の職場では機械と電気の両方を扱うことも多いので、自分が今いちばん触れている設備で考えてみてください。

「判断」と「製作」の違い

JIPMの試験要項では、判断等試験は対象物や現場の状態を、標本・模型・写真・ビデオなどで示して、判別・判断・測定をさせる試験と説明されています。一方の製作等作業試験は、物の作製や組立て、調整を実際に行わせる試験です。

『手を動かすのが得意だから電気系かな』『図や写真を見て考えるほうが得意だから機械系かな』と、試験の形で選ぶ方もいますよね。それも一つの選び方ですが、仕事と重なる作業を選ぶと、勉強がそのまま現場で役立ちます。

判断等試験(機械系・設備診断)の特徴
  • 解答はマークシート方式
  • 写真や標本、データを見て判断する
  • 部品の名前や損傷の特徴を覚えることが中心
製作等作業試験(電気系)の特徴
  • 盤に実際に配線して回路を組む
  • 作業そのものが採点される(一部マークシート)
  • 工具やPLCを自分で用意する必要がある

作業ごとの中身。何が出て、何を準備する?

ここでの結論

機械系は部品の欠陥と潤滑剤、電気系は回路の組立てと計測器、設備診断は測定データの収集と損傷の解析が中心です。持ち物や公開される問題も作業によって違います。

ここからは、作業ごとの中身をもう少し詳しく見ていきます。

機械系保全作業

JIPMの資料では、3級の機械系の実技は判断等試験7課題で、範囲は「機械の主要構成要素に生ずる欠陥の発見」「機械の異常時における対応措置の決定」「潤滑剤の判別」です。

過去の出題例として、ボルト・ナット、潤滑油、工具・測定器、空気圧装置、軸受、ねじ、キー・ピン、密封装置、弁(バルブ)に関する問題が挙げられています。工場の機械でよく目にする部品ばかりですね。

実技の資料(写真や図など)は「検定秘」として公表されていません。そのため、出題例を手がかりに、職場の現物で覚えていくのが近道です。

出題例の分野職場での覚え方の例
ボルト・ナット、ねじ、キー・ピン設備を分解する作業に立ち会い、部品の名前と使われ方を確かめる
潤滑油給油や油の交換の時に、種類と状態を見比べる
軸受、密封装置交換した部品を捨てる前に、傷や汚れの様子を見ておく
工具・測定器普段使う工具や測定器の正しい名前と使い方を確かめる
空気圧装置、弁(バルブ)設備の配管図と現物を見比べる

1級の範囲には、これに加えて機械の保全計画の作成(点検表や点検計画書の作成、故障傾向の分析)が入ります。上の級ほど、計画する側の力が問われるんです。

機械系が向いている人の目安
  • 日常点検で軸受や歯車、ベルトなどの部品を見ることが多い
  • 潤滑油の補給や交換を担当している
  • 異音や振動、漏れに気づいて報告する立場にいる
  • 部品の名前と特徴を覚えるのが苦にならない

機械系の詳しい中身は機械系保全作業とはで紹介しています。

電気系保全作業

電気系の実技は、どの級も製作等作業試験2課題・110分です。2026年度の実技概要では、課題1は標準時間50分(打ち切り60分)、課題2は標準時間30分(打ち切り50分)とされています。

試験用の盤(表示ランプ、押しボタンスイッチ、リレー、タイマなど)と配線材料は会場で用意されます。一方で、自分で持っていく物が級によって違います。

級自分で持っていく物(2026年度の実技概要)
1級・2級PLC(プログラマブルコントローラ)と、プログラミングツール(パソコン)
3級2番の十字ねじ回し、ニッパ、ワイヤストリッパ、ラチェット付き裸圧着端子用圧着ペンチ、回路計

電気系の試験問題は、事前に公式サイトに掲載されます。何が出るか分かったうえで、本番と同じ手順を練習できるのが特徴です。

ただし、電気系の実技は作業そのものを採点する試験なので、正解は公表されません。練習では、職場の先輩に回路を見てもらうなど、自分以外の目で確かめる工夫があると安心です。

電気系で気をつけたいこと

電気系の実技は、試験日が1日に決まっておらず、期間内の土日から事務局が決めて受検票で知らされます。集合から終了までは、案内によって150〜180分程度とされているので、時間に余裕を持って予定を空けておきましょう。

電気系の詳しい中身は電気系保全作業とはで紹介しています。

設備診断作業

設備診断作業は1級と2級だけで、実技は判断等試験です。1級は10課題・100分、2級は8課題・80分です。

1級の範囲には、設備の状況が分かる測定データの収集、転がり軸受や歯車の損傷の解析(外観、潤滑剤の分析、振動の解析など)、ひずみゲージを使ったストレス解析、診断結果にもとづく処置が含まれます。

JIS(Z 8141)では、設備の劣化の傾向を設備診断の技術などで管理し、故障に至る前の最適な時期に対策を行う保全を「状態監視保全」と、おおむね定義しています。予知保全とも呼ばれ、設備診断作業はこの考え方と重なる作業です。

設備診断作業の実技と特級の実技では、四則演算などの標準機能の電卓が使えます。関数電卓は使えないので注意してください。

設備診断の詳しい中身は設備診断作業とはで紹介しています。

作業で変わる試験日と合格発表

同じ等級でも、作業によって試験日と合格発表の日が違います。2026年度の第2回を例に並べてみます。

区分(2026年度第2回)試験日合格発表
2級の学科と実技(電気系の実技を除く)2026年12月13日(日)2027年1月29日(金)
特級・1級・3級の学科と実技(電気系の実技を除く)2027年1月10日(日)2027年2月24日(水)
1・2・3級の電気系の実技2026年11月28日から2027年2月21日の期間内の土日2027年3月19日(金)

電気系を選ぶと、合格発表がほかの作業より遅くなります。社内の昇格や異動の時期に合わせて資格を取りたい方は、この違いも頭に入れておきましょう。

工場の設備を点検する手元と測定器の写真

自分の作業を選ぶ判断表

ここでの結論

受ける作業は「今の仕事でいちばん触れている設備」で選ぶのがおすすめです。技能士になると、別の作業を受ける時に合格した等級以下の学科が免除されるので、2つ目の作業にも挑戦しやすくなります。

ここまでの違いをもとに、受ける作業を選ぶ判断表をつくってみました。今の自分に近い行を探してみてください。

今の状況選びたい作業理由
機械の点検や部品交換が仕事の中心機械系保全作業試験の範囲が日々の点検と重なる
制御盤の配線やシーケンス回路を触る電気系保全作業実技が回路の組立てそのもの
振動の測定など設備の状態を測っている設備診断作業(2級から)測定データの見方が試験で問われる
学生で、まだ担当の設備がない学科で学んでいる分野に近い作業機械科なら機械系、電気科なら電気系が入りやすい
保全の部署に配属されたばかり先輩が持っている作業を聞いて決める職場で教わりやすく、練習の場も見つけやすい
1つ目の作業に合格した2つ目の作業合格した等級以下の学科が免除される
自分の仕事や学んでいる分野から機械保全技能士の作業を選ぶ流れの図解

学生の方は、学校で学んでいる分野を手がかりにするのが自然です。機械科で学んでいるなら機械系、電気科で学んでいるなら電気系というように、授業の内容と重なる作業を選ぶと、学科の勉強も進めやすくなります。

職場で相談するなら、こんなやりとりが参考になります。

「機械系と電気系、どちらを受けたらいいですか?」
「うちの職場はモーターや減速機の点検が多いから、まずは機械系がいいと思うよ。」

作業を選ぶ手順
  1. 今の仕事でいちばん触れている設備を書き出す
  2. 判断表で近い作業を選ぶ
  3. JIPMの公式サイトで、その作業の出題例や実技問題を見る
  4. 電気系なら、持ち物(PLCや工具)を用意できるか確かめる
  5. 職場の先輩や上司に、選んだ作業で練習できるか相談する

2つ目の作業を受ける時

JIPMの試験要項では、技能士になった人は、合格した作業以外の作業でも、合格した等級以下の学科試験が免除されます。例えば2級の機械系に合格した人は、電気系や設備診断の2級・3級を受ける時に学科が免除になります。

つまり、2つ目の作業は実技に集中できるということですね。機械と電気の両方が分かる保全担当は、職場で頼られる場面も増えていきます。

作業の違いを活かせる職場を探すなら

作業を選ぶうちに、『今の職場では電気の仕事が少ない』『もっと大きな設備を扱いたい』と感じる方もいるかもしれません。今の職場で別の作業に挑戦するのも、社内で担当を変えてもらうのも立派な道です。

その上で、自分の作業を活かせる職場や、資格の取得支援がある会社を比べたい方は、メーカーの保全求人を見比べると選択肢が広がりますよ。

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機械保全技能士の種類についてよくある相談

この章について

質問サイトでよく見かける相談を、内容を要約して紹介します。

相談1「機械系保全と電気系保全は何が違う?」

資格を調べていて、機械系保全と電気系保全のどちらを受けるか迷っている、という相談です。多くの人に読まれていて、最初につまずきやすい所だと分かります。

いちばんの違いは実技です。機械系は写真や標本などを見て部品の欠陥や潤滑剤を判断する試験で、電気系は盤に配線して回路を実際に組む試験です。

学科は共通の科目が多く、違うのは選択科目(機械系保全法か電気系保全法か)です。仕事で触れている設備に近いほうを選ぶと、勉強が仕事に活きやすくなります。

『どちらが就職や転職で有利?』と気になる方もいますよね。どちらの作業でも名乗れるのは同じ機械保全技能士で、職場によって求められる作業が違います。

求人票に作業名まで書かれていることもあるので、気になる職場があれば確かめてみてください。

相談2「機械保全と設備診断の違いって何?」

機械保全技能士を取ろうとしているが、機械系保全作業と設備診断作業の違いが分からない、という相談です。

機械系保全作業は、部品の欠陥の発見や異常時の対応、潤滑剤の判別が中心です。設備診断作業は、測定データを集めて軸受や歯車の損傷を解析し、診断結果から処置を決める作業です。

また、設備診断作業は3級がなく、1級と2級だけです。初めて受ける方は、まず機械系か電気系で3級や2級を取り、その後に設備診断へ広げる順番も考えられます。

相談3「設備診断作業はどう勉強すればいい?」

機械系保全作業に合格したあと、設備診断作業を受けたいが、勉強法が分からないという相談です。こちらもとても多くの人に読まれています。

機械系の技能士になっていれば、合格した等級以下の設備診断の学科は免除されます。準備の中心は実技になります。

実技の範囲は、測定データの収集、軸受や歯車の損傷の解析、ストレス解析、診断結果にもとづく処置です。JIPMの公式サイトで出題例を見て、どの範囲が出るかを先に確かめてみてください。

機械系で軸受や歯車の損傷を見てきた経験は、設備診断でも土台になります。新しく覚えるのは、データを集める方法と、そのデータから異常があるかを判定する考え方です。

職場に振動を測る機器があれば、測定の場に立ち会わせてもらうのも一つの方法です。数字の動きと設備の状態を結びつけて見る経験が、判断の練習になります。

よくある質問

機械保全技能士の種類はいくつありますか?

作業は機械系保全作業・電気系保全作業・設備診断作業の3つです。等級と組み合わせると、一般の受検者が受けられるのは特級を入れて9種類です。

機械系と電気系はどちらが難しいですか?

厚生労働省の公表は等級ごとの数字までで、作業ごとの合格率は数字で比べられません。実技の形がまったく違うので、仕事で触れている設備に近い作業を選ぶのがおすすめです。

設備診断作業は3級から受けられますか?

設備診断作業は1級と2級だけで、3級はありません。

3級の電気系では何を持っていけばいいですか?

2026年度の実技概要では、2番の十字ねじ回し、ニッパ、ワイヤストリッパ、ラチェット付き裸圧着端子用圧着ペンチ、回路計を持参します。試験用の盤と配線材料は会場で用意されます。

機械系に合格したあと、電気系も受けられますか?

受けられます。技能士になっていれば、合格した等級以下の電気系の学科は免除されます。

まとめ

この記事の要点
  • 機械保全技能士の種類は、機械系保全作業・電気系保全作業・設備診断作業の3つの作業で分かれる
  • 特級は作業の区分がなく、設備診断作業は1級と2級だけ
  • 学科は共通の科目が多く、実技は作業ごとに形がまったく違う
  • 機械系は部品と潤滑剤の判断、電気系は回路の組立て、設備診断は測定データの解析が中心
  • 受ける作業は、今の仕事でいちばん触れている設備で選ぶのがおすすめ
  • 技能士になると、別の作業の学科が合格した等級以下で免除される
機械保全技能士ドットコム

機械保全技能士ドットコム 編集部

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