機械保全技能士の1級・2級・3級・特級の違い|どの級から受けるか

機械保全技能士の1級・2級・3級・特級の違いと受ける級の選び方を紹介する記事のアイキャッチ。教科書と答案用紙が置かれた机

当サイトの記事は編集部が法令や厚生労働省などの公的機関、試験を実施する指定試験機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内にメーカー・工場の転職サービスへの案内(広告)を含みます。

『3級から受けるべき?それともいきなり2級でいい?』と迷っている方も多いはずです。級ごとの違いが分からないと、どこから手をつければいいか決めにくいですよね。

結論から言うと、機械保全技能士の級の違いは「受検資格」「試験の形」「職場で期待される役割」の3つで見ると分かりやすくなります。受けられる級は、主に保全の実務年数と、下の級に合格しているかで決まります。

この記事では、級の違いを並べたうえで、自分の実務年数から受ける級を決める判断表をお伝えしますね。

目次

機械保全技能士の級の違いは?まずは一覧で

先に結論

機械保全技能士は特級・1級・2級・3級の4つの級に分かれています。3級は実務経験を問わず受けられ、2級は実務2年以上、1級は実務7年以上、特級は1級合格後5年以上が基本の受検資格です。

まずは、級ごとの違いを1枚の表で見てみましょう。JIPMの2026年度の試験要項と、職業能力開発促進法施行規則の内容をもとにしています。

比べる所3級2級1級特級
法令で決められた程度初級の技能労働者中級の技能労働者上級の技能労働者管理者または監督者
基本の受検資格実務経験を問わない実務2年以上実務7年以上1級合格後5年以上
選べる作業機械系・電気系機械系・電気系・設備診断機械系・電気系・設備診断作業の区分なし
学科真偽法30問・60分真偽法25問と四肢択一式25問・100分真偽法25問と四肢択一式25問・100分五肢択一式50問・120分
試験の回第1回と第2回第2回のみ第2回のみ第2回のみ

3級は年2回のどちらでも受けられますが、2級から上は年1回、第2回の試験だけです。上の級ほど受けるチャンスが少ないので、計画を早めに立てておきたいところです。

合格基準は、どの級も同じです。学科は100点満点で65点以上、実技は減点法で41点以上の減点がなければ合格になります。

『級が上がると合格点も上がるの?』と思うかもしれませんが、基準の点数は変わりません。変わるのは、問われる中身の深さなんです。

合格証書と受検手数料も級で違う

見落としがちですが、合格証書の名義と受検手数料も級によって違います。

比べる所3級2級1級・特級
合格証書の名義JIPM名JIPM名厚生労働大臣名
受検手数料(2026年度・学科と実技の両方)一般は20,000円、23歳未満などは減免あり20,000円20,000円

2026年度の試験要項では、3級だけに実技の手数料の減免があります。例えば23歳未満の学生なら、学科と実技の両方で10,800円です。

2級から上には年齢による減額はありません。

学生のうちに3級を受けておくと、手数料の面でも負担が軽くなるということですね。手数料の区分は機械保全技能士の申し込み方法と受検料で確かめられます。

受検資格・試験の形・職場での役割の3つで比べる

ここでの結論

級の違いは、①誰が受けられるか(受検資格)、②どんな試験か(試験の形)、③職場でどんな役割を期待されるか、の3つに分けて見ると、自分に合う級が選びやすくなります。

一覧表だけだと、数字の違いしか見えませんよね。ここでは3つの軸に分けて、級ごとの違いを掘り下げてみます。

機械保全技能士の級の違いを受検資格・試験の形・職場での役割の3つの軸で比べた図解

軸1:受検資格の違い

JIPMの受検資格判定では、上の級ほど実務経験が長く求められます。ただ、下の級に合格していたり、関連する学科を卒業していたりすると、年数が短くなります。

級実務経験だけで受ける下の級に合格している関連学科を卒業している
3級問わない該当なし問わない
2級2年以上3級合格者は年数を問わない卒業者は年数を問わない
1級7年以上2級合格後2年以上、3級合格後4年以上大学卒業後4年以上、短大・高専卒業後5年以上、高校卒業後6年以上
特級該当なし1級合格後5年以上該当なし

ここで言う関連学科は、JIPMの目安では工業高校の機械科や電気科、大学の機械工学科や電気工学科などです。普通科や文系の学部は含まれません。

受検資格の数え方は機械保全技能士の受検資格と実務経験で詳しく紹介しています。

軸2:試験の形の違い

学科は、3級が真偽法だけなのに対し、2級と1級は四肢択一式が加わります。特級は五肢択一式50問で、出題される科目もがらりと変わります。

級学科で出る科目実技(機械系の場合)
3級機械一般、電気一般、機械保全法一般、材料一般、安全衛生、選んだ作業の保全法判断等試験7課題・70分
2級3級と同じ科目の並び(設備診断法も選べる)判断等試験8課題・80分
1級2級と同じ科目の並び判断等試験8課題・80分
特級工程管理、作業管理、品質管理、原価管理、安全衛生管理など、作業指導、設備管理計画立案等作業試験10課題・150分

『1級と2級は科目が同じなら、ほとんど同じ試験?』と思いますよね。科目の並びは同じでも、法令で求める程度が「中級」と「上級」で違います。

例えば機械系の実技では、1級の範囲に「機械の保全計画の作成」が入っています。点検表や点検計画書をつくる、故障の傾向を分析するといった、計画する側の力も問われるんです。

電気系は、どの級も製作等作業試験2課題・110分です。ただし1級と2級は、自分でPLCとプログラミング用のパソコンを持っていく必要があります。

軸3:職場で期待される役割の違い

法令の「程度」と、JIPMのオフィシャルガイドにある年齢層の目安を並べると、職場での立ち位置が見えてきます。

級法令の程度受検者に多い年齢層(JIPMの目安)職場での役割のイメージ
3級初級19歳以下(学生または新入社員)先輩と一緒に点検し、基本の作業を覚える
2級中級20〜24歳(入社2、3年前後)日常点検や修理を自分で回す
1級上級30〜34歳(入社10年前後)保全計画をつくり、難しい故障に対応する
特級管理者または監督者35〜39歳(入社15年前後)工程・品質・原価まで見て現場をまとめる

役割のイメージは、法令の程度と試験範囲から読み取った目安です。実際の役割は職場ごとに違うので、今の職場で何を任されたいかと合わせて考えてみてください。

実務年数から受ける級を決める判断表

ここでの結論

迷ったら「今受けられる一番上の級」より「今の仕事と重なる級」を選ぶのがおすすめです。3級に合格すると、2級は実務年数を問わずに受けられるので、順番に上がる道も遠回りではありません。

ここからは、自分が今どの級を受けられるかを確かめていきましょう。JIPMの受検資格判定の内容をもとに、よくある状況を表にしてみました。

今の状況受けられる級考え方の目安
工業高校や専門学校の在学中3級まず3級で学科と実技の形に慣れる
入社1年目で保全の仕事を始めたばかり3級第1回と第2回のどちらでも受けられる
関連学科を卒業して入社1年目3級・2級2級も受けられるが、仕事との重なりで選ぶ
保全の実務が2年以上ある3級・2級実務と重なる作業の2級から受ける
3級に合格している2級実務年数を問わず2級に進める
2級に合格して2年以上たった1級1級の受検資格を満たす
保全の実務が7年以上ある1級まで2級を飛ばして1級も受けられる
1級に合格して5年以上たった特級管理の科目に切り替えて準備する
自分の実務年数と合格している級から受けられる機械保全技能士の級を確かめる流れの図解

『2級を飛ばして1級を受けてもいいの?』という方もいますよね。実務7年以上あれば受検資格は満たしますが、学科の形が同じ2級で一度力試しをしてから進む人もいます。

学生の方がまず目指しやすいのは3級です。職業能力開発促進法施行規則では、3級について、関連する学科に在学している人も受けられると決められています。

実務年数の数え方は、保全の業務に就いた日から受検申請の最終日までです。「2級合格後2年以上」のような条件では、合格した日の翌日から数えます。

受ける級を決める手順
  1. 保全の業務に就いた日を確かめ、受検申請の最終日までの年数を出す
  2. 合格している級と、合格した日を確かめる
  3. 関連学科を卒業しているかを確かめる
  4. 判断表で受けられる級を出す
  5. 今の仕事と重なる作業を選び、受ける級を決める
よくある失敗

「実務2年」を入社日から数えて、保全以外の部署にいた期間まで入れてしまうことがあります。受検資格は機械保全に関する業務の年数で判定するので、迷ったら試験要項の業務の例と見比べてみてください。

3級から特級へ。ステップごとの違い

ここでの結論

3級から2級では学科の形が変わり、2級から1級では計画する力が加わり、1級から特級では管理の科目に切り替わります。上がるたびに「何が新しく問われるか」を知っておくと、準備の的が絞れます。

ここでは、隣り合う級どうしで何が変わるのかを見ていきます。

3級と2級の違い

3級の学科は真偽法30問ですが、2級は真偽法25問に四肢択一式25問が加わります。時間も60分から100分に延びます。

実技は、機械系なら7課題から8課題に増えます。2級からは設備診断作業も選べるようになり、作業の選択肢が広がるんです。

3級の詳しい中身は機械保全技能士3級とは、2級は機械保全技能士2級とはで紹介しています。

2級と1級の違い

学科の問題の形と時間は、2級と1級で同じです。機械系の実技も、どちらも判断等試験8課題・80分です。

違いは、問われる中身の深さです。法令の程度は2級が「中級」、1級が「上級」で、1級の機械系の範囲には保全計画の作成や故障傾向の分析が含まれます。

設備診断作業では、実技が8課題・80分から10課題・100分に増えます。

1級は機械保全技能士1級とはで、受検資格と試験の中身を詳しく紹介しています。

1級と特級の違い

特級は作業の区分がなく、学科も実技も工程管理・作業管理・品質管理・原価管理・安全衛生管理など・作業指導・設備管理の7つの分野から出ます。保全の技能そのものより、現場を管理する力を問う試験です。

実技は計画立案等作業試験10課題・150分で、表やグラフから計算や計画立案、予測をします。特級の実技では、四則演算などの標準機能の電卓が使えます。

ステップ新しく問われること準備の目安
3級から2級四肢択一式の学科、より多い実技の課題選択肢を比べて答える練習を増やす
2級から1級保全計画の作成、故障傾向の分析などの上級の内容自分の職場の点検計画や故障記録を見直す
1級から特級工程・品質・原価などの管理、作業指導管理の手法と計算を新しく学ぶ

特級については機械保全技能士特級とはでまとめています。

一部合格の持ち越しも級で違う

学科か実技の片方だけに合格した時、同じ作業の同じ試験は次回から免除になります。1級から3級は、この効力に期限がありません。

特級だけは、合格した日から5年間(最後の年は年度の終わりまで)に限られます。特級を受ける方は、片方だけ受かった場合に5年以内にもう片方を終える計画を立てておきましょう。

また、技能士になった人は、合格した作業以外の作業でも、合格した級以下の学科が免除されます。例えば2級の機械系に合格した人が電気系の2級を受ける時は、実技だけで済むんです。

合格率で見る級ごとの難しさ

ここでの結論

厚生労働省の公表をもとに計算すると、3級は7割台、2級と1級は3〜4割台、特級は2〜3割台の年が多くなっています。3級と2級の間に、合格率の大きな段差があります。

『結局、どの級がどれくらい難しいの?』という疑問にも、数字で答えておきますね。

厚生労働省「技能検定の実施状況」の受検申請者数と合格者数から計算した合格率です。申請者数をもとにしているので、実際に受けた人だけの合格率とは少しずれます。

級令和5年度令和6年度令和7年度
3級約76.6%約73.1%約74.8%
2級約41.2%約37.4%約47.1%
1級約35.7%約31.6%約41.8%
特級約20.0%約21.6%約38.5%

JIPMのオフィシャルガイドには、3級70〜80%、2級30〜40%、1級25〜35%、特級15〜25%という目安があります。こちらは何年度の集計かが書かれていない目安で、令和7年度の計算値はそれより高めに出ています。

3級から2級に上がると、合格率はぐっと下がります。『3級が楽だったから2級も大丈夫』と考えず、学科の形が変わることを意識して準備してみてください。

等級ごとの合格率の見方は機械保全技能士の合格率と難易度で詳しく紹介しています。

級が上がったあとの働き方

級が上がると、任される仕事の幅も広がっていきます。厚生労働省の職業能力評価基準でも、機械保全の技能検定を取ると技能が社内で認められて地位が向上することが多く、転職時にも有利と書かれています。

今の職場で次の級を目指すのも、社内で保全の部署に移るのも立派な道です。その上で、1級や2級を評価してくれる職場や、資格の取得支援がある会社を比べたい方は、メーカーの保全求人を見比べると選択肢が広がりますよ。

メーカー専門の転職エージェント(PR)

資格を活かせる職場を探すなら、メーカーの保全求人も比べてみる

扱う設備の種類や勤務体制、資格手当・資格取得の支援は、工場や会社によって大きく違います。メーカー専門の転職エージェントで設備保全の求人を見比べて、今の自分に合う働き方を確かめてみてください。

無料メーカーの保全求人を見てみる

求人の条件・待遇は各求人票と紹介会社の案内でご確認ください。

機械保全技能士の級についてよくある相談

この章について

質問サイトでよく見かける相談を、内容を要約して紹介します。

相談1「3級は易しいと言われるけど、本当は難しい?」

機械保全技能士3級は易しいと聞くけれど、実は難しかったりしないか、という相談です。とても多くの人に読まれていて、同じ不安を持つ方が多いことが分かります。

厚生労働省の公表から計算すると、3級の合格率は令和5〜7年度で7割台です。2級より上と比べると、受かる人の割合は高い級です。

ただ、学科は真偽法30問で65点以上、実技は減点40点以下という基準は、上の級と同じです。実技の出題例を見ずに受けると、思わぬ所で減点が重なることもあります。

『易しいなら勉強しなくていいかな』と思った時こそ、公開されている過去の問題を1回分解いてみてください。自分の今の位置がはっきり分かりますよ。

相談2「電気系の1級と2級は、難しさがかなり違う?」

電気系保全作業の1級と2級で、難しさが大きく変わるのか知りたい、という相談です。

JIPMの試験要項では、電気系の実技はどちらも製作等作業試験2課題・110分で、1級と2級はどちらもPLCとプログラミング用のパソコンを持参します。学科の問題の形と時間も同じです。

一方で、法令で求める程度は2級が「中級」、1級が「上級」です。令和7年度の計算値でも、2級は約47.1%、1級は約41.8%と差があります。

どちらも事前に公開される実技問題があるので、まずは自分が受ける級の問題を見比べてみるのがおすすめです。電気系の実技は電気系保全作業の実技対策で紹介しています。

相談3「1級・2級対応のテキストは、中身が同じということ?」

市販のテキストに「1級・2級対応」と書かれているが、1級と2級の内容は同じようなものと考えてよいか、という相談です。

学科の科目の並びは1級と2級で同じなので、1冊で両方を扱う本があるのは自然なことです。ただ、法令で求める程度は違い、1級の範囲には保全計画の作成のように2級より踏み込んだ内容があります。

「同じ本で勉強していいですか?」
「いいけど、1級を受けるなら過去の1級の問題で仕上げておこう。」

こんなふうに、土台は共通のテキストで固め、仕上げは受ける級の過去の問題で行うのが安心です。

よくある質問

機械保全技能士の級の違いは何ですか?

主に受検資格、試験の形、法令で求める程度が違います。3級は初級、2級は中級、1級は上級、特級は管理者または監督者の程度とされています。

3級を飛ばして2級から受けられますか?

保全の実務が2年以上ある方や、関連学科を卒業した方は2級から受けられます。3級の合格は2級の条件ではありません。

2級と1級は同じ年に受けられますか?

2級と1級はどちらも第2回の試験だけで行われ、試験日も分かれています。両方を受けられるかは、受検資格と試験要項で確かめてみてください。

1級と2級で合格証書は違いますか?

名義が違います。機械保全では、特級と1級は厚生労働大臣名、2級と3級は日本プラントメンテナンス協会名の合格証書が交付されます。

特級はどんな人が受ける級ですか?

1級に合格して5年以上の実務経験がある人が受けられます。工程管理や品質管理など、現場を管理する力を問う級です。

まとめ

この記事の要点
  • 機械保全技能士は特級・1級・2級・3級の4つの級に分かれる
  • 基本の受検資格は3級が問わない、2級が実務2年以上、1級が実務7年以上、特級が1級合格後5年以上
  • 3級合格者や関連学科の卒業者は、2級を実務年数を問わずに受けられる
  • 3級から2級で学科の形が変わり、1級で計画、特級で管理の力が問われる
  • 合格率は3級が7割台、2級と1級は3〜4割台の年が多い(厚生労働省の公表からの計算値)
  • 迷ったら、今の仕事と重なる級と作業から受けるのがおすすめ
機械保全技能士ドットコム

機械保全技能士ドットコム 編集部

機械保全技能士の等級・作業区分・受検資格・試験日程から、過去問や実技の対策、設備保全の仕事・年収・転職の考え方までを、受検する人と保全の仕事をする人が自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次