機械保全技能士1級の実技対策|2級との違いと準備のしかた

機械保全技能士1級の実技対策を紹介する記事のアイキャッチ。機械部品を点検する手元と点検チェック表

当サイトの記事は編集部が法令や厚生労働省などの公的機関、試験を実施する指定試験機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内にメーカー・工場の転職サービスへの案内(広告)を含みます。

2級の実技はなんとか通ったけれど、1級の実技は何をどこまで準備すればいいのか迷いますよね。『過去問も少ないし、学科みたいにアプリもない』と困っている方も多いはずです。

結論から言うと、機械保全技能士1級の実技対策は、試験の形は2級とほぼ同じと分かったうえで「保全計画」「欠陥の原因」「判断の根拠」の3つを深めるのが近道です。ここでは作業ごとの準備のしかたをお伝えしますね。

目次

1級の実技はどんな試験?まず作業ごとの形を知る

先に結論

1級の実技は、選んだ作業によって形がまったく違います。機械系と設備診断はマークシートで答える判断等試験、電気系は実際に配線とプログラムを作る製作等作業試験です。

JIPMの試験要項では、1級の実技は次のように行われます。

作業実施方法と課題数解答方法試験時間
機械系保全作業判断等試験 8課題マークシート方式80分
電気系保全作業製作等作業試験 2課題作業採点(一部マークシート方式)110分
設備診断作業判断等試験 10課題マークシート方式100分

判断等試験は、写真や模型、ビデオなどで状態を見せて、判別や判断、測定をさせる試験です。製作等作業試験は、実際に物を組み立てたり調整したりして作業を見る試験です。

合格基準は減点法

実技は、減点法で41点以上の減点がなければ合格です。正解以外の答えは、空欄や記入ミスも含めてすべて減点の対象になります。

各設問の配点は公開されていません。『この課題は捨ててもいいかな』という考え方は危ないので、苦手な課題を作らない準備が大切です。

当日の流れも知っておく

JIPMのよくあるQ&Aでは、3級以外の機械系・設備診断の実技は14時15分集合で、学科の後に行われます。電気系の実技は別の日で、集合から終了まで150〜180分程度です(案内によって書き方が違います)。

設備診断作業の実技では、四則演算などの標準的な電卓が使えます。機械系と学科では電卓は使えません。

2級より深く問われる所を3つに分けてみる

ここでの結論

JIPMの「試験科目及びその範囲並びにその細目」を見ると、1級の実技は「保全計画」「欠陥の原因」「判断の根拠」の3つが2級より深くなります。ここを意識して練習すると、1級らしい問題に慣れやすくなります。

『形が同じなら、2級の練習の繰り返しでいい?』と思いますよね。実は、細目に書かれた中身が一段深くなっているんです。

この記事では、1級で深くなる所を独自に3つに分けてみました。

分け方1級の細目に出てくる中身練習で意識すること
保全計画機械履歴簿・点検表・点検計画書の作成、故障傾向の分析記録から次の点検の時期や中身を決められるか
欠陥の原因焼付き・異常摩耗・破損・過熱・異常振動・漏れ・亀裂・腐食などの発見見た目の状態から、起きた原因まで言えるか
判断の根拠異常時の対応措置の決定、潤滑剤の種類・粘度・劣化の判別、損傷解析選んだ対応の理由を、他の選択肢と比べて言えるか
1級の実技で2級より深く問われる所を、保全計画・欠陥の原因・判断の根拠の3つに分けた図解

「なぜそう判断したか」を口に出す練習

1級では、正しい答えを選ぶだけでなく、なぜそれを選ぶのかを分かっているかが問われます。練習の時は、答えの理由を一言で言ってみてください。

「この軸受、焼付きですね」
「どうしてそう言えるの?摩耗とどこが違う?」

職場の先輩とこんなふうに理由まで話せるようになると、選択肢で迷いにくくなりますよ。

2級の知識を1級へ広げる例

『具体的に、どう広げればいいの?』という方のために、練習の広げ方の例を並べてみます。左が2級でよく練習する所、右が1級で足したい所です。

2級でよく練習する所1級で足したい所
不具合の名前を答えるその不具合が起きた原因を答える
点検の項目を知っている点検表や点検計画書を作り、次の時期を決める
潤滑剤の種類を見分ける粘度や劣化の程度、混ざった不純物まで見分ける
異常に気づく対応の中から一番合う措置を選び、理由を言う
故障を1件ずつ直す機械履歴簿から故障の傾向を読み取る

表の右側は、ふだんの仕事で記録を付けたり、後輩に説明したりする場面と重なります。仕事の中で一度言葉にしておくと、本番の選択肢でも迷いにくくなるんです。

作業ごとの1級実技対策

ここでの結論

機械系は職場の実物と記録、電気系は事前公表の問題で手を動かす練習、設備診断は測定データと損傷の読み方が中心です。自分の作業に合わせて準備の重みを変えましょう。

機械系保全作業

機械系は、写真や図で示された状態から判断する試験です。2級の練習で覚えた部品と不具合の名前を、原因と対策まで広げていきます。

機械系の練習の順番
  1. 2級の範囲の部品と不具合の名前を確かめ直す
  2. 不具合ごとに「起きる原因」と「対策」を書き出す
  3. 職場の機械履歴簿や点検表を見て、記録の付け方を確かめる
  4. 潤滑剤の種類と劣化の見分け方をまとめる
  5. 時間を計って、課題を通して解いてみる
職場の実物の部品を手に取り、不具合の見分け方を練習する様子

職場に使い終わった部品があれば、許可を取って手に取らせてもらいましょう。写真だけで覚えるより、実物の傷や色の違いのほうが記憶に残りやすいですよ。

電気系保全作業

電気系の1・2級では、受検者がPLCとプログラミングツール(パソコン)を持参します。2026年度の概要では、課題1が標準50分・打ち切り60分、課題2が標準30分・打ち切り50分です。

電気系の実技問題は、試験の前にJIPMの公式サイトで公表されます。2026年度第2回は11月2日に公表予定とされていました。

電気系の練習で確かめたいこと
  • 公表された問題で、配線とプログラムを時間内に終えられるか
  • 持参するPLCとパソコンが本番と同じ状態で動くか
  • 動作の確認で、手順どおりにボタンを操作できるか
  • 標準時間に余裕を持って終えられるか

電気系の練習の進め方は電気系保全作業の実技対策で詳しく紹介しています。

設備診断作業

設備診断は、1級になると課題が10課題・100分に増えます。細目には、転がり軸受や歯車の損傷解析、ひずみゲージを使ったストレス解析などが挙がっています。

測った数字を見て、異常があるか、原因は何か、どう処置するかを決める練習が中心です。2級で設備診断を受けた方は、1級で課題が増えるぶん、時間の配分も意識して練習しておきましょう。

機械系や電気系の1級を持っている方が設備診断の1級を受ける場合は、学科が免除されて実技だけになります。その分、実技の準備に時間をかけられますね。作業の中身は設備診断作業とはでも紹介しています。

1級実技の過去問・問題・テキストはどう集める?

ここでの結論

JIPMの公式サイトでは、実技の問題概要と正解が公開されています。ただ、機械系と設備診断の写真や図版は公表されないので、市販の問題集や職場の実物で補う必要があります。

公式サイトで見られるもの

JIPMの公式サイトでは、過去に実施した試験の問題概要と正解が公開されています。試験問題は学科・実技とも試験の後に持ち帰れます。

作業公式に見られるもの見られないもの
機械系保全作業問題概要と正解写真や図版などの実技試験資料(検定秘)
電気系保全作業試験前に公表される問題正解(作業試験のため公表なし)
設備診断作業問題概要と正解写真や図版などの実技試験資料(検定秘)

過去問の探し方と使い方は、機械保全技能士1級の過去問でまとめています。

市販の問題集とテキスト

JIPMはテキストの発行や対策講座を行っていません。公式サイトには、過去の問題を載せた書籍等の紹介ページがありますが、内容は事務局が保証するものではないと書かれています。

1級の実技を扱う市販のテキストや問題集は、学科に比べると数が少なめです。写真の多い物を一冊選び、職場の実物と見比べながら使うのがおすすめです。

よくある失敗

写真の答えを丸ごと覚えると、別の角度の写真や少し違う状態を出された時に迷います。答えを覚えるより、見分けるポイントを覚えておきましょう。

人に教わる方法もある

JIPMの公式サイトでは、厚生労働省認定の「ものづくりマイスター」による実技指導も紹介されています。相談先は各都道府県の地域技能振興コーナーです。

職場に1級を持つ先輩がいれば、実物の前で説明してもらうのが一番の近道です。

一方で、『今の職場では練習できる設備が少ない』と感じる方もいますよね。今の職場で工夫して準備するのも正当な道ですが、設備の大きな工場や取得支援のある会社を比べたい方は、メーカーの保全求人を見比べてみると選択肢が広がりますよ。

メーカー専門の転職エージェント(PR)

資格を活かせる職場を探すなら、メーカーの保全求人も比べてみる

扱う設備の種類や勤務体制、資格手当・資格取得の支援は、工場や会社によって大きく違います。メーカー専門の転職エージェントで設備保全の求人を見比べて、今の自分に合う働き方を確かめてみてください。

無料メーカーの保全求人を見てみる

求人の条件・待遇は各求人票と紹介会社の案内でご確認ください。

1級の実技でよくある相談

この章について

質問サイトでよく見かける相談を、内容を要約して紹介します。

相談1「1級機械系の実技、問題集が少なくて困っている」

1級の機械系保全作業の実技を受けるが、過去問の載った本が少なく、何で勉強すればいいかという相談です。公式サイトの問題概要と正解に加えて、2級の実技の教材を土台に使う方法があります。

2級の教材で部品と不具合の名前を確かめ、1級で深くなる保全計画や原因の判断を、職場の記録と実物で補ってみてください。1級だけの教材を探し続けるより、早く準備が進みます。

2級の実技の練習の順番は機械保全技能士2級の実技対策で紹介しています。

相談2「実技はアプリがない。すき間時間にどう勉強する?」

学科と違って実技は問題アプリがなく、仕事の休憩時間に何をすればいいかという相談です。スマホで職場の部品や損傷の写真を撮っておき、休憩中に名前と原因を言ってみる方法があります。

社内で撮影してよいかは、職場のルールを先に確かめましょう。撮れない時は、不具合の名前と原因・対策を書いたメモを持ち歩くだけでも効果がありますよ。

相談3「電気1級の課題1、公表された配線図で全部対応できる?」

電気系保全作業1級の課題1について、公表された配線図だけで全ての問題に対応できるかという相談です。電気系の実技問題は、毎年度、試験の前に公式サイトで公表されます。

その年度に公表された問題が、練習の基準になります。前の年度の配線図に頼らず、受ける年度の問題で練習し直しましょう。

相談4「前回1級の実技に落ちた。次は何を変えればいい?」

前回の実技に落ちて、次の試験に向けてどんな対策が必要かという相談です。個別の採点結果は公開されないので、どの課題で何点減ったかは分かりません。

そこで、持ち帰った問題と公表された正解を見比べて、迷った課題や自信がなかった課題を書き出してみてください。その課題が「保全計画」「欠陥の原因」「判断の根拠」のどれに当たるかを分けると、次に練習する所がはっきりしますよ。

よくある質問

機械保全技能士一級の実技は、2級と同じ形ですか?

機械系と電気系は課題数と時間が2級と同じです。設備診断は2級の8課題・80分から、1級では10課題・100分に増えます。

1級の実技問題は過去問だけで対策できますか?

公式の問題概要と正解は出発点になります。ただ、機械系と設備診断の写真や図版は公表されないので、市販の教材や職場の実物で補いましょう。

1級の実技テキストは何を選べばいいですか?

写真の多い物を一冊選び、職場の実物と見比べながら使うのがおすすめです。1級の教材が少ない時は、2級の教材を土台にして深めます。

1級の実技対策はいつから始めればいいですか?

公式の目安はありません。電気系は試験の前に問題が公表されるので、公表されたらすぐに手を動かす練習を始めましょう。機械系と設備診断は、申請の頃から職場の実物と記録を使って少しずつ進めると無理がありません。

実技だけ落ちた場合はどうなりますか?

JIPMの試験要項では、1級の一部合格の効力に期限はありません。学科に受かっていれば、次回以降は実技だけを受けられます。

まとめ

この記事の要点
  • 1級の実技は作業ごとに形が違い、減点40点以下で合格
  • 2級より深くなるのは保全計画・欠陥の原因・判断の根拠の3つ
  • 機械系は実物と記録、電気系は公表問題での手作業、設備診断は測定データの読み方が中心
  • 公式の問題概要と正解に、市販教材と職場の実物を足して準備する
機械保全技能士ドットコム

機械保全技能士ドットコム 編集部

機械保全技能士の等級・作業区分・受検資格・試験日程から、過去問や実技の対策、設備保全の仕事・年収・転職の考え方までを、受検する人と保全の仕事をする人が自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次