機械保全技能士の電気系保全作業とは|試験の内容と機械系との違い

機械保全技能士の電気系保全作業を紹介する記事のアイキャッチ。練習用の盤と配線を扱う手元

当サイトの記事は編集部が法令や厚生労働省などの公的機関、試験を実施する指定試験機関の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内にメーカー・工場の転職サービスへの案内(広告)を含みます。

機械保全技能士を受けようとして、『電気系と機械系、どっちを選べばいいの?』と迷っていませんか。電気系は実技で配線をすると聞いて、ハードルが高そうに感じる方も多いはずです。

結論から言うと、機械保全技能士の電気系保全作業は、学科の選択科目が「電気系保全法」になり、実技が盤に配線する作業試験になる作業です。1級・2級・3級のどれでも受けられ、問題が事前に公開されるので、練習した分だけ手応えが出やすいんです。

ここでは、電気系保全作業の中身を機械系と並べて、自分に合う方を選べるようにお伝えしますね。

目次

機械保全技能士の電気系保全作業とは?

先に結論

試験を行う日本プラントメンテナンス協会(JIPM)の試験要項では、機械保全技能検定は特級・1級・2級・3級に分かれ、特級以外は作業を選んで受けます。電気系保全作業は、1級・2級・3級のすべてで選べる作業です。

機械保全技能士は、工場の設備の故障や劣化を防ぎ、正常に動かし続けるための技能を確かめる国家検定です。その中で、電気の面から設備を守る技能を確かめるのが電気系保全作業なんです。

等級と作業の組み合わせは、次のとおりです。

作業特級1級2級3級
機械系保全作業作業区分なしありありあり
電気系保全作業作業区分なしありありあり
設備診断作業作業区分なしありありなし

特級は作業を分けずに行われるので、電気系として受けられるのは1級・2級・3級です。作業の全体像は機械保全技能士の種類で比べています。

1級・2級・3級の電気系は何が違う?

職業能力開発促進法施行規則では、等級ごとに求める技能の程度が決まっています。電気系でも、この考え方は同じです。

等級法令が示す程度電気系での受け方のイメージ
3級電気初級の技能労働者が通常有すべき程度学生や新入社員が、配線の基本を確かめる
2級電気中級の技能労働者が通常有すべき程度PLCを使った回路づくりまで求められる
1級電気上級の技能労働者が通常有すべき程度2級より深い知識と、作業時間の見積りまで

JIPMのオフィシャルガイドでは、最も多い年齢層が3級は19歳以下、2級は20〜24歳、1級は30〜34歳とされています。作業を分けない等級全体の数字ですが、3級は学生のうちに、2級は入社して数年で受ける人が多いことが分かりますね。

受検資格は、JIPMの試験要項では3級が実務経験を問わず、2級が実務2年以上(3級合格者などは短縮あり)、1級が実務7年以上(短縮あり)です。詳しくは機械保全技能士の受検資格と実務経験で紹介しています。

電気系と機械系の違いを3つの面で比べる

ここでの結論

電気系と機械系の違いは「学科の選択科目」「実技の形」「職場での仕事」の3つの面で見ると分かりやすいです。学科は5科目が共通で、違うのは選択科目だけ。大きく違うのは実技です。

『電気系って、学科から全部違うの?』と思う方もいますよね。実は、学科の大部分は共通なんです。

3つの面に分けて、機械系と並べてみました。この比べ方は、この記事で独自にまとめたものです。

比べる面電気系保全作業機械系保全作業
学科の共通科目機械一般・電気一般・機械保全法一般・材料一般・安全衛生同じ5科目
学科の選択科目電気系保全法機械系保全法
実技の形製作等作業試験(盤に実際に配線する)判断等試験(写真や模型を見て判断する)
実技の課題と時間1・2・3級とも2課題・110分1・2級は8課題・80分、3級は7課題・70分
実技の解答作業採点(一部マークシート方式)マークシート方式
実技の問題事前に公式サイトで公開出題例(問題概要)を掲載、写真などは非公表
実技の持ち物1・2級はPLCとパソコン、3級は工具受検票の案内で確かめる
職場での仕事制御回路や電気部分の故障を見つけて直す機械部品の欠陥を見つけて直す
機械保全技能士の電気系保全作業と機械系保全作業の違いを、学科の選択科目・実技の形・職場での仕事の3つの面で比べた図解

この表で分かるように、いちばん大きな違いは実技です。機械系は「見て判断する」、電気系は「手を動かして作る」試験になっています。

職場での仕事の違い

厚生労働省の職業能力評価基準では、設備保全の仕事に入る時、工業高校や高専の機械科や電気科などで工学系の知識を身につけておくことが必要とされています。電気系保全作業は、その中でも電気の側から設備を守る仕事に近い作業です。

JIPMの資料にある1級電気系保全作業の細目には、電圧計・電流計・回路計などの計測器の扱いや、制御回路の組立てと異常時の対応が並んでいます。どれも、制御盤のある現場で毎日のように出てくる仕事ですよね。

機械系の中身は機械系保全作業とはで詳しく紹介しています。

電気系の学科試験:共通5科目と電気系保全法

ここでの結論

電気系の学科は、1・2級が真偽法25問と四肢択一式25問で100分、3級が真偽法30問で60分です。共通の5科目に、選択科目の「電気系保全法」が加わります。合格は100点満点で65点以上です。

学科の形は、作業ではなく等級で決まります。電気系だから特別に難しい形になる、ということはありません。

等級出題の形時間解答方法
1級電気真偽法25問・四肢択一式25問100分マークシート方式
2級電気真偽法25問・四肢択一式25問100分マークシート方式
3級電気真偽法30問60分マークシート方式

JIPMの「試験科目及びその範囲並びにその細目」では、1級の電気一般の細目に、電流・電圧・電気抵抗・電力・周波数・力率、誘導電動機の回転数と極数・周波数の関係、電動機の起動方法、回路遮断器、電気制御装置の基本回路などが並んでいます。電気一般は機械系の人も受ける共通科目なので、電気系を選んだ人にとっては得点源にしたい科目です。

よくある失敗

学科で電卓が使えると思い込んでしまうことです。JIPMの案内では、学科試験では電卓を使えません。電卓が使えるのは設備診断作業の実技と特級の実技だけなので、電力や電流の計算は手計算で練習しておきましょう。

電気系の学科は何から手をつける?

学科は5つの共通科目と選択科目に分かれているので、『どこから始めればいいの?』と迷いますよね。電気系を選ぶ人なら、まず電気一般と電気系保全法から固めると、実技の回路の理解にもつながります。

順番取り組む科目ねらい
最初電気一般・電気系保全法実技の回路と一緒に覚えられる
次機械保全法一般・安全衛生保全の基本と安全のきまりを押さえる
最後機械一般・材料一般なじみの薄い分野を過去問で補う

JIPMの公式サイトでは、過去に実施した試験問題と正解が公表されています。学科は過去問を解きながら、間違えた所をテキストで確かめる進め方が取り組みやすいです。学科の攻め方は機械保全技能士の学科試験で紹介しています。

機械系の技能士なら学科が免除になる

すでに機械系保全作業で技能士になっている方は、電気系保全作業を受ける時、合格した等級以下の学科が免除されます。例えば2級機械系の技能士なら、電気系の3級・2級の学科は受けなくてよいんです。

「機械系の2級を取ったから、次は電気系に挑戦しようかな」
「それなら学科は免除だから、実技の練習に集中できるよ」

こんな形で、作業を足していく人も多いですよね。免除の条件は機械保全技能士の学科免除・一部合格で紹介しています。

電気系の実技試験:配線とPLCの製作等作業試験

ここでの結論

電気系の実技は、試験用の盤に実際に配線する製作等作業試験で、課題は2つです。1・2級はPLCとプログラミング用のパソコンを持参し、3級は工具を持参します。問題は事前に公式サイトで公開されます。

JIPMの試験要項では、製作等作業試験は「受検者に物の作製、組立て、調整などで実際に作業を行わせる試験」とされています。機械保全技能検定の中で、手を動かして作業をするのは電気系保全作業だけなんです。

JIPMの「2026年度 電気系保全作業 実技試験の概要」の内容を、等級ごとにまとめました。

項目1級電気・2級電気3級電気
課題課題1・課題2の2つ課題1・課題2の2つ
課題1の時間標準時間50分・打ち切り60分標準時間50分・打ち切り60分
課題2の時間標準時間30分・打ち切り50分標準時間30分・打ち切り50分
会場で用意される物試験用盤(表示ランプ、押しボタンスイッチ、リレー、タイマ等)、支給材料(KIV線・Y型裸圧着端子)同じ
持参する物PLC(プログラマブルコントローラ)とプログラミングツール(パソコン)2番の十字ねじ回し、ニッパ、ワイヤストリッパ、ラチェット付き裸圧着端子用圧着ペンチ、回路計
機械保全技能士の電気系保全作業の実技で、1・2級と3級の持ち物と課題の時間を比べた図解

『PLCって自分で持っていくの?』と驚く方もいますよね。1・2級ではPLCとパソコンを持ち込むので、使い慣れた機器で練習しておくことがとても大事になります。持ち込める機器の条件は、受ける年度の実技試験の概要で確かめておきましょう。

問題は事前に公開、正解は公表されない

電気系の実技は、試験の前に問題が公式サイトに掲載されます。2026年度第2回では、事前公開用の試験問題が11月2日に公表予定とされていて、受検者への送付はありません。

一方で、電気系保全作業の実技は作業試験なので、正解の公表はありません。JIPMは採点結果の内訳も公表していないので、練習の段階で自分の配線を確かめる力をつけておく必要があります。

集合から終了までの時間

電気系実技の集合から終了までは、JIPMのよくあるQ&Aではおおよそ150分、実技試験の概要では180分程度とされています。案内によって書き方が違うので、150〜180分程度を見込んで、当日の予定を組んでおくと安心です。

採点の考え方と、当日の流れ

JIPMの試験要項では、実技は減点法で、減点が40点以下なら合格です。不正解だけでなく、空欄や記入ミスも減点の対象になります。

電気系の実技は、配線が動くかどうかだけでなく、作業の進め方や記入まで含めて見られる試験と考えておくと準備しやすいです。

実技の当日に確かめたいこと
  • 受検票をA4で印刷して持っているか
  • 1・2級は、PLCとパソコンが起動し、通信できるか
  • 3級は、指定の工具がそろっているか
  • 課題ごとの標準時間と打ち切り時間を覚えているか
  • 作業が終わった後の記入欄を見直す時間を取れるか

例えば、パソコンの充電が足りずに途中で困る、という事態は練習では気づきにくいものです。前日に一度、本番と同じ持ち物で通しの練習をしておくと安心ですよ。

実技の練習の順番は電気系保全作業の実技対策で詳しく紹介しています。

電気系の試験日程と申し込みで気をつけること

ここでの結論

電気系の実技は、学科や機械系の実技と別の日に、期間の中で協会が指定する日に行われます。試験日は自分で選べず、受検票で知らされます。

機械系は学科と同じ日に実技がありますが、電気系の実技は日程の決まり方が違います。2026年度の日程を、JIPMの実施公示から抜き出しました。

回電気系実技の試験日合格発表
2026年度 第1回(3級)2026年6月6日から7月5日の間で協会が指定する日(原則土日)2026年7月31日
2026年度 第2回(1・2・3級)2026年11月28日から2027年2月21日の期間内の土日(予備日あり)2027年3月19日

第2回の学科は、2級が2026年12月13日、特級・1級・3級が2027年1月10日です。電気系を受ける人は、学科の日と実技の日が別々になるので、2回会場に行くつもりで予定を立てておきましょう。

電気系を受ける時の準備の流れ
  1. 受ける等級と、学科免除が使えるかを確かめる
  2. 受検申請の期間内にインターネットで申し込む
  3. 1・2級は、持ち込むPLCとパソコンを用意する
  4. 事前公開の問題が出たら、本番と同じ条件で練習を始める
  5. 受検票で試験日と会場を確かめ、工具や機器をそろえる

受検地区は申し込みの時に選べますが、会場と日程は選べません。申し込みの流れは機械保全技能士の申し込み方法と受検料で紹介しています。

電気系と機械系、どちらを受けるか迷った時

ここでの結論

今の仕事で制御盤や配線に触れる機会が多いなら電気系、機械部品の点検や修理が多いなら機械系が始めやすいです。技能士になれば別の作業の学科が免除になるので、両方取る道もあります。

『どっちが簡単なの?』と気になる方も多いはずです。ただ、厚生労働省の公表は職種と等級ごとの数字で、作業別の合格率は公表されていません。難しさで選ぶより、仕事とのつながりで選ぶ方が後悔しにくいですよ。

電気系が向いている人のチェック
  • 制御盤の中の配線やリレーを見る機会がある
  • シーケンス回路やラダー図に触れたことがある
  • 手を動かして作る練習を、時間を取って続けられる
  • 1・2級なら、職場でPLCとパソコンを借りられる
  • 電気の知識を、ほかの資格にもつなげたい

当てはまる数が多ければ、電気系から始めてみるのがおすすめです。逆に、機械部品の名前や不具合の見分けに自信があるなら、機械系が近道になることもあります。

電気系の知識はほかの資格にもつながる

厚生労働省の職業能力評価基準では、設備保全に関連する資格として、電気工事士や電気主任技術者、低圧電気取扱特別教育などが挙がっています。電気系保全作業で学んだ回路の知識は、こうした資格の勉強にも生きてきます。

一緒に取りたい資格は機械保全技能士と一緒に取りたい資格で紹介しています。

苦手意識がある時の補い方

電気が苦手でも、電気系を選んではいけないわけではありません。配線の練習は、回数を重ねるほど手が覚えていく作業なんです。

例えば、職場の先輩にこう聞いてみるのも一つの方法です。

「電気系の実技、練習はどうしてました?」
「会社の練習用の盤で、事前公開の問題を何度も通しでやったよ」

身近に受けた人がいなければ、講習や職業訓練で練習の場を探す方法もあります。

よくある相談:電気系保全作業について聞かれること

ここでの結論

知恵袋では「課題2が打ち切りまでに終わらなかった」「リレーの良否判定の記入を忘れた」「一番力を入れるべき対策は?」「3級の電気系実技はどんな試験?」という相談をよく見かけます。

相談1:課題2が打ち切りまでに終わらず、動かないまま提出した

答え:JIPMは採点の内訳を公表していないので、結果は合格発表で確かめるしかありません。実技は減点法で、減点が40点以下なら合格とされています。

次に向けては、課題2の練習を時間を計って繰り返すことが近道です。課題2は標準時間30分・打ち切り50分なので、本番で時間が足りなくなる原因を練習の中で見つけておきましょう。

相談2:配線は動いたのに、記入の欄を書き忘れた

答え:JIPMの試験要項では、実技は正答以外の解答をすべて減点の対象としていて、空欄や記入ミスも含まれます。作業採点の中に一部マークシートの部分もあるので、配線が終わった後の記入まで含めて練習しておくと安心です。

『動いたから大丈夫』と思ってしまいがちですよね。練習の時から、記入欄の見直しを作業の最後の手順に組み込んでおくのがおすすめです。

相談3:一番力を入れるべき対策は?

答え:事前公開の問題を、本番と同じ時間で通して練習することです。電気系は問題が先に分かるので、練習の回数と時間の感覚がそのまま結果につながりやすい試験です。

相談4:3級の電気系実技はどんな試験?

答え:3級も1・2級と同じく、課題2つの製作等作業試験です。持ち物は、2番の十字ねじ回し、ニッパ、ワイヤストリッパ、ラチェット付き裸圧着端子用圧着ペンチ、回路計とされています。3級電気の詳しい内容は、受ける年度の実技試験の概要で確かめてみてください。

電気系の技能は、制御盤のある現場でそのまま生きる力です。今の職場で上の級を目指すのも良い道ですし、電気の設備が多い工場や資格手当のある会社も見てみたい方は、メーカーの保全求人を見比べると選択肢が広がりますよ。

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よくある質問

機械保全技能士の電気系は何級からありますか?

電気系保全作業は3級・2級・1級のすべてで選べます。特級は作業を分けずに行われます。

電気系と機械系で学科の内容は違いますか?

機械一般・電気一般・機械保全法一般・材料一般・安全衛生の5科目は共通で、選択科目だけが違います。電気系は電気系保全法、機械系は機械系保全法です。

機械保全技能士2級の電気系の実技では何を持っていきますか?

JIPMの2026年度の概要では、1・2級はPLC(プログラマブルコントローラ)とプログラミングツール(パソコン)を持参します。試験用盤と電線、圧着端子は会場で用意されます。

電気系の実技の試験日は選べますか?

選べません。期間の中で協会が指定する日になり、受検票で知らされます。受検地区は申し込みの時に選べます。

電気系と機械系の合格率はどちらが高いですか?

厚生労働省の公表は職種と等級ごとで、作業別の合格率は公表されていません。等級ごとの合格率は合格率の記事で紹介しています。

まとめ

この記事の要点
  • 電気系保全作業は1級・2級・3級で選べる作業
  • 学科は5科目が共通で、選択科目が電気系保全法になる
  • 実技は盤に配線する製作等作業試験で、課題は2つ・110分
  • 1・2級はPLCとパソコン、3級は工具を持参する
  • 実技の日は期間内で協会が指定し、受検票で知らされる

資格の全体像は機械保全技能士とはでまとめています。

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