機械保全技能士1級とは|受検資格・試験の内容・2級からの道のり

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2級に受かって数年、職場でも点検や修理を任されるようになると、次に見えてくるのが機械保全技能士1級ですよね。『自分はもう受けられるのかな』『2級とどこが違うんだろう』と気になっている方も多いはずです。

結論から言うと、1級は「2級合格後に実務2年」か「実務7年」などで受検でき、学科は50問、実技は作業ごとの課題で行われます。合格証書は厚生労働大臣名で交付され、法令上は「上級の技能」を示す級です。

ここでは、1級の受検資格の数え方、試験の中身、2級から1級までの道のりを順にお伝えしますね。

目次

機械保全技能士1級とは?上級の技能を示す国家検定

先に結論

1級機械保全技能士は、国家検定である技能検定の「機械保全」職種の1級です。法令では「上級の技能労働者が通常有すべき技能」の程度とされ、学科と実技の両方に合格すると名乗れます。

技能検定は、職業能力開発促進法にもとづく国の検定制度です。機械保全の試験は、厚生労働大臣の指定試験機関である日本プラントメンテナンス協会(JIPM)が行っています。

等級は特級・1級・2級・3級の4つです。職業能力開発促進法施行規則では、それぞれの程度が次のように決められています。

等級法令上の程度合格証書の名義
特級管理者又は監督者が通常有すべき技能厚生労働大臣
1級上級の技能労働者が通常有すべき技能厚生労働大臣
2級中級の技能労働者が通常有すべき技能日本プラントメンテナンス協会
3級初級の技能労働者が通常有すべき技能日本プラントメンテナンス協会

2級までは協会名の合格証書ですが、1級からは厚生労働大臣名に変わります。ここは1級を目指す人にとって、ちょっとうれしい違いですよね。

1級で選べる作業は3つ

1級は、受ける作業を1つ選んで受検します。選べる作業は2級と同じ3つです。

  • 機械系保全作業:機械の保全計画、欠陥の発見、異常時の対応、潤滑剤の判別を扱う
  • 電気系保全作業:PLCのプログラミングとリレー回路の組立てで、実際に手を動かす
  • 設備診断作業:測定データや損傷の様子から、設備の状態と原因を判断する

2級で受けた作業と同じ作業で1級に進む人が多いですが、別の作業を選ぶこともできます。作業ごとの違いは機械保全技能士の種類でも紹介しています。

名乗り方と「一級」の書き方

職業能力開発促進法では、技能検定に合格した人は「技能士」と名乗れます。名乗る時は、合格した職種と等級を表示する決まりです。

JIPMが示している表記の例は「1級機械保全技能士 機械系保全作業」のように、等級・職種・作業の順です。作業名は省いてもかまいません。

一級と1級の書き方

「機械保全技能士一級」「機械保全一級」と漢数字で書かれることもありますが、同じ資格です。英文ではJIPMの表記で「1st grade Certified Skilled Worker of Machine maintenance」となります。

どんな人が受けている?

JIPMのオフィシャルガイドでは、1級を受ける人の最も多い年齢層は30〜34歳で、入社10年前後とされています。2級を若手のうちに取り、職場で中心になってきた頃に1級へ進む流れが多いんです。

厚生労働省「令和7年度 技能検定の実施状況」では、機械保全1級の受検申請者数は9,122人でした。等級別で見ても、全職種の中で2位の多さです。

1級の受検資格(受験資格)は?実務年数の数え方

ここでの結論

JIPMの2026年度試験要項では、1級は「実務7年以上」が基本です。2級合格後なら実務2年、3級合格後なら実務4年など、合格歴や学歴で必要な年数が短くなります。

検索では「受験資格」と書かれることが多いですが、技能検定では「受検資格」と書きます。どちらも同じものを指しています。

JIPMの受検資格判定では、1級の満たし方が次のように示されています。

満たし方必要な実務経験
実務経験のみ7年以上
2級合格者2級合格後 2年以上
3級合格者3級合格後 4年以上
関連学科の高校卒業卒業後 6年以上
関連学科の短大・高専・高校専攻科卒業卒業後 5年以上
関連学科の大学卒業卒業後 4年以上

『2級に受かったばかりだけど、すぐ1級を受けられる?』と思った方もいるかもしれません。2級合格者の場合は、合格した後の実務が2年必要なんです。

「〜後○年」は、その後の経験だけを数える

JIPMの試験要項では、「〜後○年」の要件は「〜後」の実務経験だけを通算します。2級合格後2年なら、2級に受かる前の経験は数えません。

実務経験は、機械保全に関する業務に就いた日から受検申請の最終日までで数えます。過去の職場での経験も含められます。

実務経験に入る仕事(JIPMの例)
  • 機械・設備の保全計画を作る
  • 設備の欠陥を見つける
  • 異常が起きた時に対応する
  • 測定データを集め、解析・判定する
  • 保全の方法を決めて処置する

管理監督や訓練・教育に関する業務、入社後に受けた訓練の期間も含められます。また、JIPMの試験要項では「実務経験年数を証する書類の提出は不要」とされています。

どの数え方が一番早いか比べてみる

例えば、大学の機械工学科を出て保全の仕事に就いた場合を考えてみましょう。卒業後4年で1級の受検資格を満たします。

その間に2級に受かっていれば、2級合格後2年でも満たせます。どちらか早いほうで受けられるので、両方を数えてみてください。

よくある勘違い

書類の提出が不要でも、実務経験は正しく申告するのが前提です。年数がぎりぎりの時は、業務に就いた日や合格日と、申請の最終日を数え直してから申し込みましょう。

受検資格の数え方は、機械保全技能士の受検資格と実務経験でも級ごとに紹介しています。

1級の試験の中身は?学科・実技の形と合格基準

ここでの結論

1級の学科は真偽法25問と四肢択一式25問を100分で解き、65点以上で合格です。実技は作業ごとに形が違い、減点が40点以下なら合格になります。

学科試験

JIPMの試験要項では、1級の学科はどの作業でも同じ形です。マークシート方式で行われます。

項目1級の学科
出題真偽法25問・四肢択一式25問
試験時間100分
合格基準加点法で100点満点として65点以上
試験科目機械一般、電気一般、機械保全法一般、材料一般、安全衛生、選択科目

選択科目は、機械系保全法・電気系保全法・設備診断法から、受ける作業に合わせて1つを選びます。形も科目名も2級と同じなので、『じゃあ中身も同じ?』と思いますよね。

実は、JIPMの「試験科目及びその範囲並びにその細目」を見ると、1級では扱う機械の種類が広く書かれています。工作機械や化学機械、製鉄機械、荷役機械、自動組立て機械などの種類・構造・用途まで含まれるんです。

学科では電卓は使えないので、計算問題は手計算で解きます。過去の問題の見方は機械保全技能士1級の過去問で詳しく紹介しています。

実技試験

実技は、作業によって形がまったく違います。

作業実施方法と課題数解答方法試験時間
機械系保全作業判断等試験 8課題マークシート方式80分
電気系保全作業製作等作業試験 2課題作業採点(一部マークシート方式)110分
設備診断作業判断等試験 10課題マークシート方式100分

判断等試験は、写真や模型、ビデオなどで状態を見せて、判別や判断、測定をさせる試験です。設備診断作業は、2級の8課題から1級では10課題に増えます。

電気系保全作業の1・2級では、受検者がPLCとプログラミングツール(パソコン)を持参します。2026年度の概要では、課題1が標準50分・打ち切り60分、課題2が標準30分・打ち切り50分です。

設備診断作業の実技では、四則演算などの標準的な電卓が使えます。関数電卓やプログラム機能付きの電卓は使えません。

機械保全技能士1級の学科と実技を、作業ごとの試験の形と合格基準でまとめた図解

合格基準と一部合格

学科は65点以上、実技は減点法で41点以上の減点がなければ合格です。合格発表のページでは「実技試験60点以上」と書かれていて、意味は同じです。

学科と実技の片方だけ受かった場合は、次回からその試験が免除されます。JIPMの試験要項では、1級の一部合格の効力に期限はありません。

各設問の配点や個別の採点結果は公開されていません。実技の練習の進め方は機械保全技能士1級の実技対策でまとめています。

2026年度の日程と受検手数料

1級は年2回のうち第2回だけで行われます。JIPMの2026年度の実施公示では、日程は次のとおりです。

項目2026年度 第2回
受検申請2026年8月24日(月)〜9月25日(金)、インターネット申請のみ
学科・実技(電気系実技を除く)2027年1月10日(日)、学科が午前・実技が午後
電気系保全作業の実技2026年11月28日(土)〜2027年2月21日(日)の土日で事務局が決定
合格発表2027年2月24日(水)、電気系は2027年3月19日(金)

2026年度の受検手数料は、学科・実技の両方で20,000円、学科のみ4,600円、実技のみ15,400円です。1級には年齢による減免はありません。

2026年度第2回の申請はすでに終わっているので、これから受ける方は2027年度の案内を待つことになります。JIPMの試験要項で最新の日程を確かめてみてください。

2級との違いは?受検資格・試験・職場の役割で比べる

ここでの結論

試験の形だけを見ると、1級と2級はよく似ています。違いは、受検資格に必要な実務年数、合格証書の名義、そして法令上の「中級」と「上級」という程度の差です。

『2級と同じ形なら、1級もすぐ受かりそう』と感じる方もいますよね。並べてみると、違いがはっきりします。

比べる点2級1級
受検資格(実務のみ)2年以上7年以上
合格歴での短縮3級合格者は実務の要件なし2級合格後2年、3級合格後4年
学科の形真偽法25問+四肢択一式25問・100分同じ
機械系の実技判断等試験8課題・80分判断等試験8課題・80分
設備診断の実技判断等試験8課題・80分判断等試験10課題・100分
法令上の程度中級上級
合格証書の名義日本プラントメンテナンス協会厚生労働大臣

形は同じでも、問われる深さが違う

試験科目の細目を見ると、1級の機械系保全作業では「機械の保全計画の作成」に、機械履歴簿や点検計画書の作成、故障傾向の分析が入っています。目の前の不具合を見つけるだけでなく、計画を立てて先を読む力が問われるんです。

設備診断作業の1級では、転がり軸受や歯車の損傷解析、ひずみゲージを使ったストレス解析なども範囲に入っています。測った数字から原因と処置まで決める力が求められます。

「2級と同じ過去問の形だから大丈夫だと思ってました」
「形は同じでも、選択肢の細かさが違うから、理由まで説明できるようにしておくといいですよ。」

職場でこんなやりとりが聞こえてきそうですよね。2級の延長で考えつつ、1級で深くなる所を見つけておくのが近道です。

合格率で見ると

厚生労働省「令和7年度 技能検定の実施状況」の受検申請者数と合格者数から計算すると、1級の合格率は約41.8%、2級は約47.1%でした。令和5・6年度も、1級は2級より低い計算になります。

合格率の年度ごとの読み方は、機械保全技能士1級の合格率・難易度で詳しく紹介しています。

1級を「受検資格」「学科と実技」「職場での役割」に分けて考える

ここでの結論

1級の準備は、受検資格の年数、学科と実技の勉強、職場で任される役割の3つに分けると迷いにくくなります。それぞれ確かめる相手も違います。

1級は、2級よりも準備にかかる期間が長くなりがちです。やることを3つの箱に分けてみましょう。分け方は、この記事で独自に考えたものです。

箱確かめること誰に聞くか
受検資格実務7年か、2級合格後2年か、学歴での短縮か自分で数える。迷えばJIPMに問い合わせる
学科と実技どの作業を選ぶか、1級で深くなる範囲はどこか先に1級を取った先輩、職場の保全担当
職場での役割合格後に任される仕事、資格の支援があるか上司、就業規則、人事

受検資格の箱

まずは自分の年数を数えるところからです。2級の合格日と、保全の業務に就いた日を手帳やメモで確かめておきましょう。

学科と実技の箱

学科は、JIPMの公式サイトで公表されている過去の問題と正解が出発点です。JIPMはテキストの発行や対策講座を行っていないので、教材は市販の物から選ぶことになります。

実技は、機械系なら保全計画や欠陥の原因、電気系ならPLCとリレー回路、設備診断なら測定データと損傷の読み方が中心です。教材の選び方は機械保全技能士1級のテキスト・アプリで紹介しています。

職場での役割の箱

厚生労働省の職業能力評価基準(設備保全)では、技能検定(機械保全)の特級・1級・2級を取ると、技能が社内で認められて地位が向上することが多いと書かれています。転職の時にも、資格を持つ人は有利だとされています。

また、厚生労働省の「ものづくりマイスター」は、1級技能士相当以上の技能を持つ熟練技能者が、若手に実技を教える制度です。1級は、教わる側から教える側へ回る目安の一つと言えますね。

1級の準備を受検資格・学科と実技・職場での役割の3つに分けた図解

2級合格から1級合格までの道のりを時間の順に並べる

ここでの結論

2級合格者の場合、合格後に実務2年を積んでから1級を申請します。1級は第2回だけの実施なので、受けるチャンスは年1回です。

『2級に受かってから、いつ1級を受けられるの?』という疑問に答えるため、流れを時間の順に並べてみますね。2026年度の日程を例にしています。

時期やること
2級に合格合格日の翌日から、1級に向けた実務年数の数え始め
合格後の2年間保全計画や異常時の対応など、1級で深く問われる仕事に関わる
実務2年を満たした年度の8月下旬〜9月下旬1級の作業を選び、インターネットで申請する
申請から試験日まで学科は過去問で1級の深さに慣れる。実技は作業ごとに練習する
1月上旬の試験日機械系・設備診断は学科と同じ日、電気系は11月下旬〜2月の土日
2月下旬の合格発表片方だけ合格なら、翌年度は残りの試験だけを受ける

この表の日付の感覚は、2026年度の実施公示をもとにしています。年度によって日程は動くので、申請の前にJIPMの案内を確かめましょう。

1級に向けた準備の順番
  1. 自分の実務年数と、使える短縮の条件を数える
  2. 受ける作業を決める(2級と同じ作業か、別の作業か)
  3. 公式サイトの過去の問題で、1級の出題の深さを確かめる
  4. 共通科目と選択科目を教材で一通り読む
  5. 実技の練習を作業ごとに始める(電気系は早めに)

1級の先にあるもの

1級に受かると、次は特級が見えてきます。JIPMの受検資格判定では、特級は1級合格後に実務5年以上で受けられます。

特級は作業区分がなく、工程管理や品質管理、作業指導などの管理の知識が問われます。詳しくは機械保全技能士特級とはで紹介しています。

職場の外にも目を向けてみる

JIPMの「初めての方へ」では、企業・団体によっては受検料補助や合格報奨金、資格手当てを受けられると紹介されています。会社によって違うので、就業規則や人事の案内で確かめておきましょう。

一方で、『1級を取っても役割が変わらない』『もっと大きな設備のある工場で腕を試したい』と感じる方もいますよね。今の職場で特級を目指すのも、社内で保全の中心に立つのも正当な道です。

そのうえで、1級の経験を活かせる職場や、資格手当・取得支援のある会社を比べたい方は、メーカーの保全求人を見比べてみると選択肢が広がりますよ。

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機械保全技能士1級でよくある相談

この章について

質問サイトでよく見かける相談を、内容を要約して紹介します。

相談1「学科で○×は高得点、四択は半分以下。受かっている?」

1級の学科で、真偽法はよくできたのに四肢択一式が伸びなかった、合格しているかという相談です。JIPMの試験要項では、学科は100点満点として65点以上で合格ですが、各設問の配点は公開されていません。

そのため、正解数から合否を確実に計算することはできないんです。試験後に公表される正解で自己採点をしたら、あとは合格発表を待ちましょう。

次に受ける時のために、どちらの形式で落としたかはメモしておくと役に立ちます。四肢択一式で落としたなら、選択肢を一つずつ消す練習を増やしてみてください。

相談2「1級・2級対応のテキストは、1級と2級が同じ内容?」

市販のテキストに「1級・2級対応」と書かれているが、両方の内容は同じと考えていいかという相談です。学科の科目名と出題の形は、1級と2級で同じです。

ただ、JIPMの細目を見ると、1級は扱う機械の種類や保全計画の中身が広くなっています。共通の土台は同じで、1級ではその上に深い所が乗っていると考えるとしっくりきます。

相談3「機械系1級に受かった。設備診断の1級も受けたい」

機械系保全作業の1級に合格した人が、次に設備診断作業の1級を受ける時に免除があるかという相談です。JIPMの試験要項では、技能士は合格した作業以外の作業でも、合格等級以下の学科試験が免除されます。

つまり、1級の機械系保全作業の技能士なら、設備診断作業の1級は学科が免除されて実技だけで受けられます。申請の時は、技能士番号を入れて「免除付受検申請」を行う流れです。

よくある質問

機械保全技能士1級は2級を持っていないと受けられませんか?

2級を持っていなくても受けられます。JIPMの2026年度試験要項では、実務7年以上でも受検でき、関連学科の卒業者は学歴に応じて4〜6年に短縮されます。

機械保全1級の試験は年に何回ありますか?

1級は年2回のうち第2回だけで行われます。2026年度は学科と実技(電気系を除く)が2027年1月10日です。

1級の合格証書は誰の名前で交付されますか?

1級と特級は厚生労働大臣名、2級と3級は日本プラントメンテナンス協会名で交付されます。

1級の学科だけ受かった場合、効力に期限はありますか?

JIPMの試験要項では、1級の一部合格の効力に期限はありません。次回以降は実技だけを受ければ技能士になれます。

機械保全技能士一級に受かると、次は何を目指せますか?

1級合格後に実務5年以上で特級を受けられます。特級は作業区分がなく、管理や指導の知識が問われる等級です。

まとめ

この記事の要点
  • 機械保全技能士1級は、法令上「上級の技能」の程度を示す国家検定で、合格証書は厚生労働大臣名
  • 受検資格は実務7年以上が基本で、2級合格後2年、3級合格後4年、学歴での短縮もある
  • 学科は真偽法25問と四肢択一式25問を100分、65点以上で合格
  • 実技は作業ごとに形が違い、設備診断は1級で10課題に増える
  • 1級は第2回だけの実施なので、2級合格からの年数を数えて計画的に受ける
機械保全技能士ドットコム

機械保全技能士ドットコム 編集部

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