機械保全技能検定とは|国家資格としての仕組みと技能士の名乗り方

機械保全技能検定の国家資格としての仕組みと技能士の名乗り方を紹介する記事のアイキャッチ。証書風の書類と教科書が置かれた机

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『機械保全技能士って、本当に国家資格なの?』と気になって調べている方も多いですよね。履歴書や名刺に書く前に、きちんと確かめておきたい所です。

結論から言うと、機械保全技能検定は職業能力開発促進法にもとづく国の技能検定で、合格した人は「機械保全技能士」と名乗れます。試験を行うのは、厚生労働大臣が指定した日本プラントメンテナンス協会(JIPM)です。

この記事では、国家検定としての仕組みと、技能士の名乗り方のルールをお伝えしますね。

目次

機械保全技能検定とは?国が技能を証明する検定

先に結論

機械保全技能検定は、国の技能検定制度にある職種の一つ「機械保全」の試験です。働く人の技能を一定の基準で検定し、国として証明する仕組みになっています。

技能検定という言葉自体、あまりなじみがないという方もいますよね。まずは制度の全体から見てみます。

厚生労働省の案内では、技能検定は「働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度」と説明されています。中央職業能力開発協会の説明では、昭和34年に始まった制度です。

技能検定は全部で133職種

厚生労働省によると、技能検定は全133職種あります。そのうち111職種は都道府県が行い、22職種は指定試験機関が行う形です(令和8年3月3日時点の記載)。

機械保全は、指定試験機関が行う22職種の一つです。JIPMは「国家技能検定の133職種のうち、『機械保全』にかかる国家試験」と説明しています。

区分職種数試験を行う所
都道府県が行う職種111職種都道府県(都道府県の職業能力開発協会)
指定試験機関が行う職種22職種国が指定した団体(機械保全はJIPM)

『都道府県の協会で受けるのでは?』と思っていた方は、ここが大事なところです。機械保全の申し込みや問い合わせ先は、都道府県の協会ではなくJIPMになります。

機械保全という職種の中身

JIPMの説明では、機械保全は「工場の設備機械の故障や劣化を予防し、機械の正常な運転を維持し保全するために重要な仕事」とされています。業種を問わず、さまざまな製造現場に共通する作業という位置づけです。

ここで言う機械保全検定は、民間の団体が独自に作った検定とは違います。国の制度の中で行われる検定なので、合格すると法律で決められた名称を名乗れるようになるんです。

受検者の多さ

厚生労働省の「令和7年度 技能検定の実施状況」では、機械保全の受検申請者数は全133職種の中で2番目に多い数でした。ものづくりの現場で広く受けられている検定と言えます。

国家資格としての仕組みを3つに分けて見る

ここでの結論

機械保全技能検定を国家資格として見る時は、「法律の位置づけ」「試験を行う機関」「名乗れる名称」の3つに分けると分かりやすくなります。それぞれ、職業能力開発促進法の別の条文が決めています。

『国家資格』と一口に言っても、何が国の決まりで、何を団体が行っているのかは分かりにくいですよね。そこで、3つに分けて表にしてみました。

見る所決めている決まり中身
法律の位置づけ職業能力開発促進法 第44条厚生労働大臣が、職種ごとに等級に分けて技能検定を行う。実技試験と学科試験で行う
試験を行う機関同法 第47条厚生労働大臣が指定した試験機関に、試験の業務を行わせることができる。機械保全はJIPM
名乗れる名称同法 第50条合格した人は技能士と名乗れる。合格していない職種や等級を名乗ってはいけない
機械保全技能検定を法律の位置づけ・試験を行う機関・名乗れる名称の3つに分けて示した図解

法律の位置づけ

職業能力開発促進法の第44条では、技能検定は厚生労働大臣が職種ごとに、等級に分けて行うと決められています。試験は実技試験と学科試験で行うことも、同じ条文にあります。

機械保全の等級は、施行規則で特級・1級・2級・3級・基礎級と決められています。基礎級は外国人技能実習生向けで、一般の受検者が受けるのは特級から3級までです。

試験を行う機関

同じ法律の第47条では、厚生労働大臣が要件に合う団体を「指定試験機関」に指定し、試験の業務を行わせることができるとされています。機械保全の指定試験機関が、公益社団法人日本プラントメンテナンス協会です。

ただし、合格の決定そのものは指定試験機関に任される業務から外されています。JIPMも「技能士合格の判定は厚生労働省が行う」と書いています。

試験の業務に関わるJIPMの役員や職員には、法律で秘密を守る義務があります。罰則の適用では「法令により公務に従事する職員とみなす」とされ、国の試験と同じ重みで扱われているんです。

平成26年度以前に合格した人は

JIPMは、平成26年度以前の合格証書や合格証明書についても、指定試験機関であるJIPMが扱うと書いています。昔に合格した方も、問い合わせ先はJIPMで大丈夫です。

ただし、平成26年度以前に一部合格や技能士合格をした方は、免除を使う時の手続きが違います。受検申請の前に「合格証書交付申請」が必要になるので、試験要項で確かめておきましょう。

名乗れる名称

第50条では、技能検定に合格した人は「技能士」と名乗れると決められています。名乗る時は、合格した職種と等級を示し、合格していない職種や等級を示してはいけません。

違反した時は、厚生労働大臣が2年以内の期間を決めて名称の使用停止を命じることができます。さらに、技能士でない人が技能士という名称を使った場合などは、30万円以下の罰金の対象になります。

名乗り方で気をつけたいこと

3級に合格した人が「機械保全技能士」とだけ書いて等級を省くと、上の級と誤解されることがあります。法律では合格した等級を示すよう決められているので、等級は省かずに書いておきましょう。

機械保全技能士の名乗り方と合格証書

ここでの結論

JIPMは「等級、職種、作業」の順で書く表記を示しています(作業名は省略可)。合格証書は、特級と1級が厚生労働大臣名、2級と3級がJIPM名で交付されます。

合格したら、名刺や履歴書にどう書けばいいのか迷いますよね。JIPMが示している書き方をそのまま使うのが安心です。

JIPMが示す表記の例

等級日本語の表記英文の表記
特級特級機械保全技能士Special grade Certified Skilled Worker of Machine maintenance
1級1級機械保全技能士 機械系保全作業(電気系保全作業、設備診断作業)1st grade Certified Skilled Worker of Machine maintenance
2級2級機械保全技能士 機械系保全作業(電気系保全作業、設備診断作業)2nd grade Certified Skilled Worker of Machine maintenance
3級3級機械保全技能士 機械系保全作業(電気系保全作業)3rd grade Certified Skilled Worker of Machine maintenance

作業名は省略してもよいとされています。ただ、保全の仕事で機械系か電気系かは大事な情報なので、名刺や履歴書では入れておくと相手に伝わりやすくなります。

例えば、2級の電気系保全作業に合格した場合はこう書きます。

「2級機械保全技能士 電気系保全作業」

履歴書の書き方は機械保全技能士の履歴書の書き方で、合格証書の扱いは機械保全技能士の合格証書とカードで詳しく紹介しています。

書き方で迷いやすい例

よく見かける書き方を、JIPMの表記と比べてみました。

書き方気をつけたい所おすすめの書き方
機械保全技能士等級がなく、どの級か伝わらない2級機械保全技能士
機械保全士2級正式な名称ではない2級機械保全技能士
機械保全技能検定2級合格間違いではないが、名乗れる名称を使うほうが短く伝わる2級機械保全技能士 機械系保全作業
1級機械保全技能士(電気)作業名を略している1級機械保全技能士 電気系保全作業

面接や社内の書類で聞かれた時は、こんなふうに答えると伝わりやすいですよ。

「お持ちの資格は何ですか?」
「2級機械保全技能士の機械系保全作業です。3級は電気系保全作業も持っています。」

合格証書の名義は等級で違う

職業能力開発促進法では、合格した人に合格証書を交付すると決められています。機械保全では、等級によって証書の名義が違います。

等級合格証書の名義
特級・1級厚生労働大臣名
2級・3級日本プラントメンテナンス協会名

一般向けの説明では「2級・3級は都道府県知事名」と書かれていることもあります。これは都道府県が行う職種の話で、機械保全は施行規則とJIPMの記載どおりJIPM名になります。

『2級はJIPM名だから国家資格じゃないの?』と心配になる方もいますが、そうではありません。2級・3級も同じ国の技能検定で、証書の名義の決まりが等級で分かれているだけです。

証書をなくした時や証明が必要な時

合格証書をなくしたり汚したりした時、氏名が変わった時は、再交付を申請できます。合格証書のほかに、JIPM名の合格証明書も発行されます。

なお、技能士章(バッジ)については、公式の案内で交付の有無を確かめられませんでした。公式に確認できるのは、合格証書と合格証明書です。

合格後にやっておきたいこと
  • 合格証書が届いたら、氏名や等級・作業に誤りがないか確かめる
  • 証書は折らずに保管し、写しを取っておく
  • 名刺や社内の資格台帳には、等級と作業名を入れて登録する
  • 転職などで証明が必要な時は、合格証明書の発行を考える

機械保全技能検定の中身。等級・作業・試験の形

ここでの結論

機械保全技能検定は特級から3級までの4等級で、特級以外は機械系保全作業・電気系保全作業・設備診断作業から1つを選んで受けます。学科は65点以上、実技は減点40点以下が合格の基準です。

国家資格の仕組みが分かったら、次は検定の中身ですよね。ここでは全体をざっとつかめるよう、要点だけを並べます。

等級法令で決められた程度選べる作業
特級管理者または監督者が通常有すべき程度作業の区分なし
1級上級の技能労働者が通常有すべき程度機械系・電気系・設備診断
2級中級の技能労働者が通常有すべき程度機械系・電気系・設備診断
3級初級の技能労働者が通常有すべき程度機械系・電気系

JIPMの試験要項では、学科は加点法で100点満点の65点以上、実技は減点法で41点以上の減点がない場合に合格です。学科と実技の両方に合格して、初めて技能士と名乗れます。

試験は年2回で、第1回は3級だけ、第2回は特級から3級まですべての等級を行います。作業ごとの違いは機械保全技能士の種類で比べています。

学科試験の形

学科は、等級によって問題の形と時間が違います。JIPMの試験要項から並べてみます。

等級問題の形と数時間
特級五肢択一式50問120分
1級・2級真偽法25問と四肢択一式25問100分
3級真偽法30問60分

解答はどれもマークシートです。実技は、機械系と設備診断が写真や標本などを見て判断する試験、電気系が回路を実際に組む作業試験、特級が計画を立てる試験になっています。

片方だけ合格した時の扱い

学科か実技の片方だけに合格した場合、同じ作業の同じ試験は次回から免除されます。1級から3級の一部合格の効力に期限はなく、特級だけは合格した日から5年間です。

例えば3級の機械系で学科に合格し、実技を落とした場合、次の回は機械系の実技だけを受ければ大丈夫です。

国家資格を仕事にどう活かす?

ここでの結論

職業能力開発促進法の第50条が決めているのは「名乗り方」です。保全の仕事に就くこと自体には公的資格は特に必要とされていませんが、技能を国の基準で示せることが、社内の評価や転職で強みになります。

『国家資格なら、持っていないと保全の仕事はできないの?』と思う方もいますよね。実は、そういう資格ではないんです。

厚生労働省の職業能力評価基準では、設備保全の仕事は「入職に際して、公的資格は特に必要とされない」と書かれています。一方で、機械保全の技能検定を取ると「技能が社内で認められて地位が向上することが多い。

転職時にも、資格保有者は有利である」とも書かれています。

場面機械保全技能士が役立つこと
社内の評価自分の技能を、国の基準の等級で説明できる
後輩の指導試験の範囲が、点検や異常時の対応など仕事の基本と重なる
転職求人票の「歓迎資格」などで、技能を客観的に伝えられる
次の級合格した等級が、上の級の受検資格を短くする
機械保全技能士の技能が活きる、工場の設備を点検している手元の写真

『役に立たない資格』という声を見かけて不安になる方もいるかもしれません。その声が出る理由と活かし方は機械保全技能士は役に立たない?で紹介しています。

会社によって違うこと

JIPMの案内では、企業や団体によっては受検料の補助、合格報奨金、資格手当などがあると紹介されています。あるかどうかや金額は会社によって違うので、就業規則や求人票で確かめてみてください。

資格を活かせる職場を探すなら

国家資格を取ったのだから、それを評価してくれる職場で働きたい。そう考えるのは自然なことです。

今の職場で上の級を目指すのも、社内で保全の部署に移るのも、どちらも立派な道です。その上で、資格手当や取得支援のある会社、設備の大きい工場を比べてみたい方は、メーカーの保全求人を見比べると選択肢が広がりますよ。

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機械保全技能検定についてよくある相談

この章について

質問サイトでよく見かける相談を、内容を要約して紹介します。

相談1「1級の学科、この点数で受かっている?」

1級の学科で、真偽法は25問中22問、四肢択一式は25問中11問正解だったが、合格しているか知りたいという相談です。とても多くの人に読まれている相談で、自己採点で気をもむ気持ちがよく分かります。

JIPMの試験要項では、学科は100点満点で65点以上が合格です。ただ、各設問の配点は公表されていないので、真偽法と四肢択一式の点数の比べ方は分かりません。

つまり、問題数だけで合否を言い切ることはできないんです。結果は合格発表を待ち、その間に実技や次の準備を進めておくのがおすすめです。

試験問題は持ち帰ることができ、正答例は試験のあとに公式サイトで公開されます。自己採点は、正答例と自分の答えを1問ずつ見比べるところまでにしておきましょう。

『ぎりぎりかも』と不安な時ほど、間違えた問題の分野をメモしておくと役に立ちます。もし次の回を受けることになっても、どこから復習すればいいかがすぐ分かりますよ。

相談2「学科に受かって実技に落ちたら、次は学科なし?」

3級を受けて、もし学科だけ合格して実技に落ちたら、次は学科が免除になるのか、という相談です。

答えは「はい」です。JIPMの試験要項では、合格した作業に限り、合格した等級以下の同じ試験が次回以降免除されます。

3級の一部合格の効力に期限はありません。

申し込む時は、技能士番号や合格通知番号を入れる「免除付受検申請」を行います。詳しくは機械保全技能士の学科免除・一部合格を見てみてください。

相談3「3級の機械系に受かったら、電気系も合格扱い?」

3級は機械系と電気系に分かれているけれど、どちらかに受かれば両方に合格したと考えてよいか、という相談です。

機械系と電気系は別の作業として試験が行われるので、受かったのは合格した作業だけです。名乗る時も「3級機械保全技能士 機械系保全作業」のように、合格した作業を書きます。

ただ、技能士になると、合格した作業以外の作業でも、合格した等級以下の学科が免除されます。もう一方の作業を受ける時は、実技に集中できるということですね。

よくある質問

機械保全技能検定とは何ですか?

職業能力開発促進法にもとづく国の技能検定のうち、「機械保全」職種の試験です。日本プラントメンテナンス協会(JIPM)が指定試験機関として試験を行っています。

機械保全技能士は国家資格ですか?

国家検定である技能検定に合格した人が名乗れる名称で、国家資格の一つと言えます。特級と1級の合格証書は厚生労働大臣名で交付されます。

機械保全技能士と名乗るには何が必要ですか?

同じ等級・作業の学科試験と実技試験の両方に合格することです。名乗る時は合格した等級を書きます。

機械保全の検定はどこが行っていますか?

公益社団法人日本プラントメンテナンス協会(JIPM)です。都道府県の職業能力開発協会ではなく、JIPMに申し込みます。

2級と3級の合格証書は誰の名前で出ますか?

日本プラントメンテナンス協会名で交付されます。特級と1級は厚生労働大臣名です。

まとめ

この記事の要点
  • 機械保全技能検定は、職業能力開発促進法にもとづく国家技能検定の「機械保全」職種
  • 試験は厚生労働大臣が指定したJIPMが行い、合格の判定は厚生労働省が行う
  • 合格した人は「技能士」と名乗れ、等級を示して名乗るのが法律の決まり
  • 表記は「等級、職種、作業」の順で、作業名は省略できる
  • 合格証書は特級と1級が厚生労働大臣名、2級と3級がJIPM名
  • 保全の仕事に資格は必須ではないが、社内の評価や転職で技能を示せる
機械保全技能士ドットコム

機械保全技能士ドットコム 編集部

機械保全技能士の等級・作業区分・受検資格・試験日程から、過去問や実技の対策、設備保全の仕事・年収・転職の考え方までを、受検する人と保全の仕事をする人が自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

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