機械保全技能士の設備診断作業とは|試験の内容と選び方

機械保全技能士の設備診断作業の試験内容と選び方を紹介する記事のアイキャッチ。設備に測定器を当てる手元と記録用紙

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機械保全技能士の作業一覧に「設備診断」とあって、何をする試験なのかピンと来なかった。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、機械保全技能士の設備診断作業は、設備の状態を表すデータを集めて読み、異常の有無や対応を決める力を問う作業です。1級と2級だけで行われ、実技は写真や資料を見てマークシートで答える判断等試験なんです。

この記事では、試験の中身を3つの段階に分けて見ながら、機械系・電気系との選び方までお伝えしますね。

目次

設備診断作業とは?機械保全技能士の中での位置づけ

先に結論

設備診断作業は、機械保全技能士の3つの作業のうち、1級と2級でだけ選べる作業です。3級はありません。学科の選択科目は「設備診断法」、実技は判断等試験です。

機械保全技能士の試験は、試験を行う日本プラントメンテナンス協会(JIPM)の試験要項で、特級以外は作業ごとに実施すると決められています。作業は機械系保全作業・電気系保全作業・設備診断作業の3つです。

作業3級2級1級
機械系保全作業ありありあり
電気系保全作業ありありあり
設備診断作業なしありあり

『じゃあ、設備診断は最初からは受けられないの?』と思いますよね。3級がないので、設備診断作業は2級からのスタートになります。2級の受検には、実務2年以上か、3級合格などの条件があります。

「設備診断」という言葉の意味

設備診断という言葉は、JIS(Z 8141)の生産管理用語にも出てきます。設備診断技術は、おおむね「設備の性能や劣化の状態を定量的につかみ、信頼性・安全性・寿命を予測する活動」と定義されています。

同じJISでは、状態監視保全(予知保全とも呼ばれる)を「設備の劣化傾向を設備診断技術などによって管理し、故障に至る前の最適な時期に最善の対策を行う予防保全の方法」としています。

つまり設備診断は、「壊れる前に、状態を見て手を打つ」保全を支える技術なんです。保全の種類の違いは予防保全・事後保全・予知保全の違いで詳しく紹介しています。

設備診断の試験はどんな形?学科と実技の中身

ここでの結論

学科は1級・2級とも真偽法25問と四肢択一式25問の100分です。実技は判断等試験で、1級が10課題・100分、2級が8課題・80分。どちらもマークシートで答えます。

設備診断作業の試験も、学科と実技の両方に合格して初めて技能士と名乗れます。まず全体を表で見てみましょう。

区分2級1級
学科の形式真偽法25問・四肢択一式25問真偽法25問・四肢択一式25問
学科の時間100分100分
実技の形式判断等試験 8課題判断等試験 10課題
実技の時間80分100分
実技の答え方マークシートマークシート
法令上の程度中級の技能労働者上級の技能労働者

学科の科目

学科の科目は、機械一般・電気一般・機械保全法一般・材料一般・安全衛生の5つが共通です。そこに選択科目として「設備診断法」が加わります。

共通の5科目は、機械系や電気系を選んだ人と同じ範囲です。違うのは選択科目の1つだけなんですね。

実技は「判断等試験」

JIPMの試験要項では、判断等試験を「対象物や現場の状態を、原材料・標本・模型・写真・ビデオなどで示し、判別・判断・測定などをさせて技能の程度を評価する試験」と説明しています。

機械系保全作業と同じ形式ですが、設備診断では電卓が使えるのが大きな違いです。JIPMの案内では、電卓を使えるのは設備診断作業と特級の実技だけで、四則演算などの標準機能の電卓に限られます。関数電卓やプログラム機能付きのものは使えません。

設備診断の実技に向けて確かめること
  • 四則演算などの標準機能だけの電卓を用意する(学科では使えない)
  • 集合時刻を受検票で確認する(JIPMのよくあるQ&Aでは、3級以外の機械系・設備診断の実技は14時15分)
  • 合格基準は、学科が100点満点で65点以上、実技が減点40点以下
  • 受検票はマイページから印刷して持っていく

2026年度の試験日

設備診断作業は1級と2級だけなので、試験は年2回のうち第2回だけです。JIPMの2026年度の実施公示では、学科は午前、実技は午後に行われます。

等級2026年度の試験日合格発表
2級2026年12月13日(日)2027年1月29日(金)
1級2027年1月10日(日)2027年2月24日(水)

2026年度第2回の受検申請は、2026年8月24日から9月25日まででした。次に受ける方は、翌年度の試験要項で日程を確かめてみてください。

設備診断作業を「測る・読む・決める」の3段階で整理する

ここでの結論

試験科目の細目を見ると、設備診断の実技は「データを集める」「損傷や状態を読み解く」「処置を決める」の流れでできています。この記事では、これを「測る・読む・決める」の3段階で見ていきますね。

細目の言葉は硬くて、読んでもイメージしにくいですよね。そこで、1級の実技の細目を、仕事の流れに沿って3つに並べ替えてみました。分け方はこの記事独自の整理です。

段階細目にある言葉(1級の例)現場に置き換えると
測る設備の状況がわかる測定データの収集設備から振動などのデータを取る
読む転がり軸受・歯車の損傷解析(外観・潤滑剤分析・フェログラフィ・振動解析など)、ストレス解析(ひずみゲージ)集めたデータや部品の傷み方から、何が起きているかを読み解く
決める診断結果に基づく処置(異常の有無の判定・原因の究明・対応処置の決定)異常かどうかを判断し、原因と対応を決める
設備診断作業の中身を、測る・読む・決めるの3段階に分けた図解

「測る」はデータを集める段階

最初の段階は、設備の状態が分かるデータを集めることです。どんなデータを、どう取ればいいかを知っているかが問われます。

例えば職場で、決まった場所の振動を定期的に記録しているなら、それがまさに「測る」の経験です。

職場でこんなやりとりをしたことはありませんか。

「このモーター、先月の記録と比べてどう?」

「同じ場所で測ったら、少し数字が上がってますね」

こうした日々の記録を、意味のあるデータとして扱えるかどうか。設備診断の「測る」は、そこが出発点なんです。

「読む」は損傷とデータを読み解く段階

次の段階は、集めたデータや部品の状態から、何が起きているかを読み解くことです。細目には、転がり軸受や歯車の損傷解析、潤滑剤の分析、振動解析、ひずみゲージを使ったストレス解析が並んでいます。

ここが設備診断のいちばんの特徴です。部品を目で見るだけでなく、数字やグラフから状態を推し量る力が求められるんですね。

「決める」は処置を選ぶ段階

最後は、診断の結果から、異常があるか、原因は何か、どう対応するかを決める段階です。データを読めても、ここで正しい判断ができないと保全にはつながりません。

『データは読めるけど、最後の判断に自信がない』という方も多いはずです。判断の練習は、職場で上司や先輩がどう対応を決めたかを聞くのが近道ですよ。

自分の得意な段階を確かめる
  • 決まった場所・決まった方法でデータを取ったことがある(測る)
  • 軸受や歯車の傷み方を見て、原因を考えたことがある(読む)
  • 潤滑剤の汚れや色の変化に気づいたことがある(読む)
  • 異常かどうかを自分で判断し、対応を提案したことがある(決める)

当てはまらない段階があっても大丈夫です。そこが、これから重点的に勉強する範囲になります。

機械系との重なり

機械系保全作業でも、欠陥の発見や異常時の対応措置の決定、潤滑剤の判別が範囲に入っています。違いは、設備診断がデータの収集と解析に重きを置いている点です。機械系の中身は機械保全技能士の機械系保全作業とはで紹介しています。

機械保全技能士の設備診断の過去問は3段階で仕分ける

JIPMは過去3年分(試験要項では3回分)の問題概要と正解を公式サイトで公表しています。ただし設備診断作業の実技で使う写真や図版は検定秘で公表されないため、過去問は「聞かれ方を知る」ために使います。

機械保全の設備診断の過去問を探している方は、まずJIPMの公式サイトの「過去の試験問題」のページを開いてみましょう。学科・実技とも、試験問題は試験が終わったあと持ち帰ることもできます。

設備診断の過去問を使う流れ
  1. 公式サイトで、受ける等級の設備診断作業の問題概要と正解を見る
  2. 試験科目の細目と見比べて、どの段階(測る・読む・決める)の問題かを分ける
  3. 自分が苦手な段階を見つけ、その範囲の用語や考え方を調べ直す
  4. 計算を含む問題は、試験で使う標準機能の電卓で解いてみる
  5. 職場で取っているデータと結びつけて、意味を確かめる
設備のデータを記録した点検表と電卓が置かれた机で、過去の問題を見直している写真

過去問の答えを丸暗記しない

公表されているのは問題概要なので、実際の試験で見る資料とは違います。答えを丸暗記しても、本番の写真や資料が変われば通用しないことも。

だからこそ、「なぜこの答えになるのか」を説明できるところまで理解しておきましょう。過去問の探し方や注意点は機械保全技能士の過去問はどこで見る?で詳しく紹介しています。

よくある失敗

学科の勉強ばかりで、実技の判断の練習が後回しになる。設備診断の実技はデータを読んで判断する試験なので、早めに過去の問題概要で聞かれ方をつかんでおきましょう。

機械系・電気系・設備診断、どれを選ぶ?

ここでの結論

3つの作業に「どれが簡単」という公表された答えはありません。作業別の合格率も公表されていないので、今の仕事でいちばん触れている作業を選ぶのが近道です。

『結局、どの作業で受けるのがいいの?』と迷う方は多いですよね。判断の目安として、職場や経験ごとに向きやすい作業を表にしてみました。

こんな職場・経験の人向きやすい作業理由
測定器で設備のデータを取り、記録や傾向管理をしている設備診断作業「測る」「読む」が日々の仕事と重なる
軸受や歯車の傷み方を見て、交換の時期を判断している設備診断作業または機械系保全作業損傷の見方はどちらにも通じる
機械の分解・組立てや部品交換が中心機械系保全作業部品の判別や欠陥の発見が中心の試験
制御盤の配線やPLCに触れることが多い電気系保全作業実技で回路を実際に組む
機械系の資格を持ち、次の作業を考えている設備診断作業学科が免除になる場合があり、実技に集中しやすい

実は、機械系と設備診断の両方を受ける人もいます。技能士になると別の作業の学科が免除になるので、機械系に合格してから設備診断に進む、という順番もとりやすいんです。

この表は、試験の範囲と仕事の中身を照らし合わせた目安です。迷った時は、職場の先輩や上司に「うちの職場ならどの作業が活きるか」を聞いてみるのもいいですよ。

3つの作業の違いをもっと詳しく比べたい方は、機械保全技能士の種類|機械系・電気系・設備診断の違いと選び方を読んでみてください。

1級の設備診断を目指す方へ

1級の設備診断作業は、実技が10課題・100分と、機械系の1級(8課題・80分)より課題が多くなります。JIPMの受検資格判定では、1級は実務7年以上のほか、2級合格後に実務2年以上、3級合格後に実務4年以上などで受けられます。機械系の2級に合格している人も、2級合格後の年数で数えられるんです。

ただし、設備診断作業の1級を受けるのに、設備診断の2級を先に取っておく決まりはありません。自分の実務の年数で受けられるかを、JIPMの受検資格判定のページで確かめてみてください。

1級全体の受検資格や試験の中身は機械保全技能士1級とはでまとめています。

設備診断作業でよくある相談

ここでの結論

知恵袋では「機械系1級を持っていると設備診断の学科は免除になるか」「どの作業がいちばん簡単か」「昔の合格でも免除になるか」という相談がよく読まれています。公式の情報で答えられる範囲でお答えしますね。

相談1「機械系1級に合格した。設備診断1級の学科は免除になる?」

とても閲覧の多い相談です。JIPMの試験要項では、技能士は合格した作業以外の作業でも、合格した等級以下の学科試験が免除されます。

例えばJIPMは、2級の機械系保全作業の技能士は、電気系保全作業と設備診断作業の3級・2級の学科が免除になると説明しています。同じ考え方で、機械系の1級に合格していれば、設備診断作業の1級以下の学科が免除の対象になります。

平成27年度以降の合格者は、受検申請の時に技能士番号を入れて「免除付受検申請」をします。学科が免除になれば、準備は実技の判断等試験に集中できますね。

相談2「2級で機械・電気・設備診断、どれがいちばん簡単?」

これもよく読まれている相談です。結論から言うと、作業別の合格率は公表されていないので、どれが簡単かを数字で比べることはできません。

厚生労働省が公表しているのは、職種「機械保全」の等級ごとの受検申請者数と合格者数です。作業ごとの難しさは、試験の形と自分の経験の相性で変わると考えておきましょう。

相談3「昔に取った1級では、設備診断の学科が免除にならないと聞いた」

ずっと前に合格した方からの相談です。JIPMの案内では、平成26年度以前に合格した方は免除付受検申請ができず、「合格証書交付申請」という別の手続きを行う扱いになっています。

つまり、昔の合格は手続きの流れが今の合格者と違います。自分の場合に学科がどう扱われるかは、合格した年度と作業を添えて、JIPMの受検サポートセンターに問い合わせるのが確実です。

免除のしくみをまとめて知りたい方へ

学科免除や一部合格の効力は機械保全技能士の学科免除・一部合格で詳しく紹介しています。

設備診断の資格を仕事でどう活かす?

ここでの結論

設備診断作業で身につく「データから設備の状態を読む力」は、壊れる前に手を打つ保全の土台です。今の職場で上の級や別の作業に挑む道も、資格を活かせる職場を探す道も、どちらも正当な選択肢です。

厚生労働省の職業能力評価基準(保全)では、生産ラインの機械設備や金型の診断、維持・保全を推進する仕事として保全を説明しています。計測データを機械履歴に記入し、異常値を統計的に解析して原因を究明する、という流れも書かれています。

設備診断の試験範囲と、ほとんど同じ流れですよね。資格の勉強が、そのまま仕事の進め方につながるんです。

資格を活かせる職場を見る時のポイント
  • 設備のデータを取って傾向を管理する仕事があるか
  • 保全の専門部署があるか、製造と兼務か
  • 資格手当や受検料補助、取得支援があるか
  • 勤務体制(日勤のみか、交替勤務があるか)

資格手当などの中身は会社によって違うので、就業規則や求人票で確かめてみてください。『データを使った保全に力を入れている工場で働いてみたい』という方は、メーカーの保全求人を見比べると選択肢が広がります。

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よくある質問

機械保全技能士の設備診断作業に3級はありますか?

ありません。設備診断作業は1級と2級だけで行われます。設備診断から始めたい方は、2級の受検資格(実務2年以上か、3級合格など)を確かめてみてください。

設備診断の実技では電卓を使えますか?

使えます。JIPMの案内では、使えるのは四則演算などの標準機能の電卓に限られ、関数電卓やプログラム機能付きのものは使えません。学科では電卓は使えません。

機械保全の設備診断の実技は、実際に機械を測りますか?

実技は判断等試験で、資料や写真などで示された状態を見て判断し、マークシートで答える形式です。答え方は紙のマークシートですが、測定データの扱いや判断の力が問われます。

設備診断作業は、年に2回受けられますか?

受けられるのは年1回です。JIPMの試験は年2回ありますが、第1回は3級だけで、1級と2級は第2回でだけ行われます。設備診断作業には3級がないので、第2回の試験が受ける機会になります。

設備診断作業の過去問はどこで見られますか?

JIPMの公式サイトで、過去3年分(試験要項では3回分)の問題概要と正解が公表されています。実技の写真や図版は検定秘のため公表されていません。

まとめ

この記事の要点
  • 設備診断作業は1級と2級だけで、3級はない
  • 実技は判断等試験で、1級は10課題・100分、2級は8課題・80分
  • 中身は「測る・読む・決める」の3段階で整理すると分かりやすい
  • 作業別の合格率は公表されていないので、仕事と重なる作業を選ぶ
  • 機械系や電気系の技能士は、設備診断の合格等級以下の学科が免除の対象

設備診断作業は、データと向き合ってきた経験がそのまま活きる作業です。まずは公式サイトで細目と問題概要を開いて、「測る・読む・決める」のどこが自分の得意かを確かめてみてください。

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