機械保全とは|設備保全との違いと現場での仕事の中身

機械保全とは何かと設備保全との違い、仕事の中身を紹介する記事のアイキャッチ。工場の設備を点検する手元

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求人票や社内の異動の話で「機械保全」という言葉を見かけて、どんな仕事なのか気になった。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、機械保全とは、工場の設備や機械が故障したり劣化したりするのを防ぎ、正常に動く状態を保つための仕事です。設備保全とほぼ同じ意味で使われ、点検・修理・改善までを幅広く受け持ちます。

この記事では、機械保全の意味と設備保全・保守との違い、現場で実際に何をしているのかを時間の流れに沿ってお伝えしますね。

目次

機械保全とは?意味をひと言でいうと

先に結論

機械保全とは、工場の設備機械の故障や劣化を予防し、正常な運転を保つための仕事です。特定の業界だけでなく、さまざまな製造現場に共通する作業とされています。

機械保全の意味を、公的な説明から見てみましょう。機械保全技能検定を行う日本プラントメンテナンス協会(JIPM)は、次のように説明しています。

機械保全とは、工場の設備機械の故障や劣化を予防し、機械の正常な運転を維持し保全するために重要な仕事で、各種製造現場の共通的な作業

出典:日本プラントメンテナンス協会(JIPM)機械保全技能検定サイト「初めての方へ」

ポイントは「予防」と「維持」の2つです。壊れたものを直すだけでなく、壊れないように手を打っておくことまでが機械保全なんです。

厚生労働省の「設備保全」の説明

厚生労働省の職業能力評価基準では、「設備保全」という職種名で次のように説明しています。

「設備保全とは、工場の生産ラインに設置されている機械設備の故障や劣化を予防し、維持・保全することである」

JIPMの機械保全の説明と、ほとんど同じ中身ですよね。実務の場面では、機械保全と設備保全はほぼ同じ仕事を指していると考えて大丈夫です。

「保全」という言葉そのものの意味

JIS(Z 8141)の生産管理用語では、保全はおおむね「設備性能を維持するための、日常的または定期的な計画・点検・検査・調整・整備・修理・取替えなどの諸活動」と定義されています。

並んでいる言葉を見ると、点検から取替えまでかなり幅が広いことが分かります。機械保全の作業は「修理する人」のイメージより、ずっと広い範囲なんです。

設備保全と機械保全の違いは?保守・メンテナンスとの比べ方

ここでの結論

設備保全と機械保全の違いは、言葉が指す範囲の広さです。設備保全は機械に加えて建物の設備やインフラも含むことがあり、機械保全は工場の機械に焦点を当てた言い方です。保守やメンテナンスは、保全とほぼ同じ意味で使われます。

『設備保全と機械保全って、何が違うの?』と迷いますよね。どちらも同じ現場で使われる言葉なので、混ざって使われることも少なくありません。

厚生労働省の職業能力評価基準(保全)では、保全の仕事を「生産ラインに設置されている機械設備や金型の診断、維持・保全や、建具、排気、排水など工場インフラの管理、保全を推進する仕事」と説明しています。設備保全という言葉は、機械だけでなく工場のインフラまで含めて使われることがあるんですね。

言葉の違いを表で比べる

この記事では、よく使われる言葉を「指す範囲」で並べてみました。会社によって使い方が違うので、目安として見てください。

言葉主に指す範囲よく使われる場面
機械保全工場の設備機械の故障・劣化の予防と維持技能検定の職種名、工場の保全部署
設備保全生産ラインの機械設備に加え、工場インフラまで含むことがある求人票の職種名、厚生労働省の職業能力評価基準
保守(メンテナンス)保全とほぼ同じ意味日常会話、設備の点検・整備の場面
保全作業・保全管理保全を行う作業と、それを計画・管理する仕事プラントメンテナンス業(保全会社)
機械保全・設備保全・保守(メンテナンス)の言葉が指す範囲の違いを比べた図解

機械保全のメンテナンスと英語の言い方

JIS(Z 8115)のディペンダビリティ用語では、「保全、保守」が1つの用語としてまとめて定義されています。保全と保守は、ほぼ同じ意味で扱われているということです。

カタカナでいうとメンテナンスです。機械保全技能検定を行う団体の名前も「日本プラントメンテナンス協会」ですよね。

機械保全を英語で表す例としては、JIPMが示す機械保全技能士の英文表記が参考になります。例えば2級は「2nd grade Certified Skilled Worker of Machine maintenance」です。機械保全は「Machine maintenance」と表されているんです。

英語表記を書類に使う時

JIPMの合格証書のページでは、特級・1級・2級・3級それぞれの英文表記が示されています。名刺や英文の履歴書に書く時は、そちらの表記に合わせておくと安心です。

保全担当が受け持つ仕事を時間軸で見てみよう

ここでの結論

保全担当の仕事は「毎日の点検」「計画した定期の点検・修理」「突発の故障への対応」の3つの時間軸に分けると全体がつかめます。そこに、再発を防ぐための改善が加わります。

『機械保全の作業って、毎日何をしているの?』と思いますよね。厚生労働省の職業能力評価基準(設備保全)では、日常点検・定期点検・パトロール点検で機械設備の今の状態をつかむことが主な業務とされています。

さらに、仕事の範囲は「保全計画の作成に始まり、機械の修理及び改良、機械履歴簿の作成、機械の点検、機械の異常時における対応措置、品質管理手法を用いた設備管理など、非常に広範囲にわたる」と書かれています。

これを時間の流れで並べ直すと、次のようになります。並べ方はこの記事独自の整理です。

時間軸主な仕事例えばこんな場面
日常日常点検、パトロール点検、記録始業前に設備を見て回り、音やにおい、漏れがないかを確かめる
定期定期点検、保全計画の作成、部品の取替え計画に沿って設備を止め、分解して点検・整備する
突発異常時の対応措置、修理ラインが止まった時に駆けつけ、原因を探して復旧させる
その後機械履歴簿の作成、再発防止策、マニュアル作成同じ故障が起きないよう、原因と対策を記録して共有する
保全担当の仕事を、日常・定期・突発・その後の時間軸で並べた図解

日常:毎日の点検で「いつもと違う」に気づく

日常の点検は、地味に見えて保全のいちばんの土台です。いつもの音、いつものにおいを知っているからこそ、変化に気づけるんですね。

例えば、パトロール中にこんなやりとりがあるかもしれません。

「このポンプ、今日はちょっと音が違いませんか?」

「本当だ。記録を見て、前回の点検と比べてみよう」

こうした小さな気づきを記録に残すことが、大きな故障を防ぐ第一歩になります。

定期:計画に沿って手を入れる

定期の点検や修理は、計画を立てて行う仕事です。厚生労働省の説明でも、仕事の範囲は「保全計画の作成に始まり」と書かれています。

設備の定期修理の時期について、職業能力評価基準は「一時的にかなりの仕事量が発生するため、心身ともにタフであることも求められる」としています。忙しい時期がある仕事だということは、知っておきたいところです。

突発:止まった設備を早く動かす

突発の故障への対応は、保全の仕事でいちばん緊張する場面かもしれません。原因を探し、対応を決めて、設備を動く状態に戻します。

ただ、突発対応だけで終わらせないのが保全の大事な所です。なぜ壊れたかを記録し、再発防止策を考えて、日常や定期の点検に活かしていきます。

よくある誤解

機械保全を「壊れた機械を直す仕事」とだけ思っていると、点検や記録、計画づくりの多さに驚くことも。修理は仕事の一部で、壊れないようにする工夫も同じくらい大事な仕事だと考えておきましょう。

仕事の一日の流れは機械保全の仕事内容|一日の流れと点検・修理・改善の中身で紹介しています。仕事に就く前に学びたい方は、職業訓練で機械保全を学ぶもあわせて見てみてください。

機械保全の基礎知識と用語を押さえよう

ここでの結論

機械保全の用語は、JISの生産管理用語で定義されています。まずは「事後保全・予防保全・改良保全・保全予防」の4つと、予防保全の中の分け方を押さえておくと、現場の話も試験の勉強も分かりやすくなります。

保全の現場では、独特の用語がたくさん出てきますよね。『先輩の話に出てくる言葉が分からない』という方のために、JIS(Z 8141)の定義をもとに主な用語をまとめました。

用語JISの定義のおおむねの内容
事後保全故障などの不具合を見つけたあと、要求どおりに動く状態に戻すための保全
予防保全劣化の影響をやわらげ、故障が起きる確率を下げるために行う保全
時間計画保全予定した時間の間隔で行う予防保全(定期保全・経時保全を含む)
状態監視保全設備の劣化傾向を設備診断技術などで管理し、故障の前の最適な時期に対策する予防保全(予知保全とも呼ばれる)
改良保全故障が起こりにくい設備への改善や、性能向上を目的とした保全活動
保全予防設備の計画・設計の段階から、過去の保全の情報を使って故障の原因を取り除く対策を織り込む活動
TPM生産システムのライフサイクルを対象に、全部門で全員が参加し、ロス・ゼロを目指す生産革新活動

予防保全・事後保全・予知保全の違いは、予防保全・事後保全・予知保全の違い|保全の種類と試験での問われ方で詳しく比べています。TPMについてはTPMとは|全員参加の生産保全と機械保全技能士の関係で紹介しています。

機械保全に必要な知識の地図

『機械保全の知識って、何から身につければいいの?』という方には、機械保全技能検定の学科の科目が地図になります。JIPMの試験科目では、次の科目が並んでいます。

機械保全の知識の柱(技能検定の学科の科目)
  • 機械一般(機械の種類・構造・機能・用途)
  • 電気一般(電流・電圧、電動機など)
  • 機械保全法一般(保全の考え方と方法)
  • 材料一般(金属材料の性質、熱処理)
  • 安全衛生(作業の安全と衛生)

機械の保全といっても、電気の知識も欠かせないんです。どちらかが苦手でも、仕事をしながら少しずつ広げていけば大丈夫ですよ。

用語は「いつ手を入れるか」で覚える

用語をばらばらに覚えるのは大変ですよね。覚えるコツは、「いつ手を入れるか」で並べることです。

壊れてから直すのが事後保全、時間を決めて手を入れるのが時間計画保全、状態を見て手を入れるのが状態監視保全です。さらに、壊れにくくする改良保全、最初から壊れにくく作る保全予防、と続けて覚えると流れでつながります。

機械保全の仕事でよくある相談

ここでの結論

知恵袋では「設備保全の仕事に中途で入る前に何を準備すればいいか」「機械保全と電気保全の仕事はどう違うか」「製造現場から保全に移れるか」という相談がよく読まれています。公的な情報で答えられる範囲でお答えしますね。

相談1「来週から中途で設備保全の仕事に就く。何を準備すればいい?」

とても多く読まれている相談です。『経験がないけど、ついていけるかな』と不安になりますよね。

厚生労働省の職業能力評価基準(設備保全)では、入職に際して公的資格は特に必要とされないとしています。そのうえで、工業高校や高専の機械科・電気科などで学ぶような、電気や機械の工学系の専門知識を身につけておくことが必要だと書かれています。

最初の準備としては、次のようなことから始めてみてください。

入社前後にやっておきたいこと
  1. 担当する設備の名前と、どこに何があるかを覚える
  2. 点検表を見て、何を確かめているのかを先輩に聞く
  3. 分からない用語をメモして、JISの用語などで意味を調べる
  4. 機械一般・電気一般の基礎を少しずつ学び直す

相談2「機械保全と電気保全は、どんな仕事の違いがある?」

これもよく読まれている相談です。機械保全技能検定でも、作業は機械系保全作業・電気系保全作業・設備診断作業に分かれています。

試験の範囲で見ると、機械系は機械の部品の欠陥の発見や潤滑剤の判別、電気系は制御回路の組立てや電気計測器の扱いが中心です。職場での分担の仕方は会社によって違います。ただ、学科の科目は機械一般と電気一般の両方が共通なので、どちらの担当を目指しても両方の基礎は役に立ちます。

担当の分け方は、求人票や面接で確かめてみてください。

相談3「製造現場から機械保全・設備保全に移れる?」

製造のラインで働いている方からの相談です。厚生労働省の職業能力評価基準(保全)では、専門の保全スタッフを置かず、製造ラインの熟練技能者が保全業務を兼務するケースも少なくないとしています。

つまり、製造現場で設備に触れてきた経験は、保全の仕事にもつながりやすいんです。社内で保全の部署に移る道も、転職で保全の仕事に就く道もあります。

未経験から保全を目指す方へ

未経験から設備保全の仕事に就く進め方は、未経験から設備保全の仕事に就くにはで詳しく紹介しています。

機械保全の仕事は誰がする?資格と働き方

ここでの結論

機械保全は、工場の保全部署の担当者だけでなく、製造ラインの技能者や保全会社のスタッフも担っています。力を証明する資格の代表が、国家検定の機械保全技能士です。

機械保全の仕事を担う人は、職場によってさまざまです。厚生労働省の職業能力評価基準をもとに、主な形を表にしてみました。

働く場所仕事の形特徴
メーカーの工場(保全部署)自社の生産設備の点検・修理・改善設備技術部門や製造現場と連携する
メーカーの工場(製造と兼務)製造ラインの技能者が保全も行う専門の保全スタッフを置かない職場もある
プラントメンテナンス業(保全会社)顧客のプラントの保全作業・保全管理点検・検査、補修、工程管理などを受け持つ

職業能力評価基準(設備保全)では、製造現場や技術者、社外の関係者と連携するため、専門スキルとあわせて協調性やコミュニケーション力も必要とされています。一人で黙々と作業するだけでなく、人と話す場面も多い仕事なんです。

力を証明する資格は機械保全技能士

機械保全の力を証明する代表的な資格が、機械保全技能検定に合格した人が名乗れる「機械保全技能士」です。職業能力開発促進法に基づく国家検定で、特級・1級・2級・3級があります。

職業能力評価基準では、技能検定(機械保全)の資格を取ることで、技能が社内で認められて地位が向上することが多いとされています。転職時にも、資格保有者は有利だと書かれています。

資格があると伝わりやすいこと
  • 保全の知識と技能の水準
  • 学科と実技の両方に合格した実力
  • 機械系・電気系などの得意分野
資格だけでは伝わりにくいこと
  • 担当してきた設備の種類
  • 突発対応や改善の経験
  • 職場での連携の仕方

資格と経験を両方伝えられると、職場選びの幅が広がります。『自分の経験と資格を活かせる職場を見てみたい』『設備の大きい工場や、勤務体制の違う職場も比べたい』という方は、メーカーの保全求人を見比べてみると選択肢が広がりますよ。

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今の職場で上の級を目指しながら経験を積む道も、もちろん大切な選択肢です。資格の全体像は機械保全技能士とは?資格の内容・等級・取り方でまとめています。

よくある質問

機械保全とは、簡単にいうと何ですか?

工場の設備や機械が故障したり劣化したりしないように予防し、正常に動く状態を保つ仕事です。点検・修理だけでなく、保全計画の作成や改善、記録づくりまで含まれます。

設備保全と機械保全の違いは何ですか?

実務ではほぼ同じ仕事を指すことが多いです。設備保全は、機械設備に加えて排気や排水など工場のインフラまで含めて使われることがあります。会社による使い方の違いは求人票で確かめてみてください。

機械保全の仕事に資格は必要ですか?

厚生労働省の職業能力評価基準では、入職に際して公的資格は特に必要とされないとしています。ただ、機械保全技能士などの資格を取ると、技能が社内で認められやすくなるとされています。

機械保全の基礎知識は、仕事に就く前にどう学べばいいですか?

機械保全技能検定の学科の科目(機械一般・電気一般・機械保全法一般・材料一般・安全衛生)を地図にして、基礎から順に学ぶ方法があります。求職中の方は、ポリテクセンターの職業訓練で機械設備の保全を学べるコースもあります。センターごとに内容が違うので、ハローワークで確かめてみてください。

機械保全は英語で何といいますか?

JIPMが示す機械保全技能士の英文表記では「Machine maintenance」と表されています。保全・保守はカタカナでいうとメンテナンスです。

まとめ

この記事の要点
  • 機械保全とは、工場の設備機械の故障や劣化を予防し、正常な運転を保つ仕事
  • 設備保全とはほぼ同じ意味で、設備保全は工場インフラまで含むことがある
  • 仕事は日常・定期・突発の時間軸と、その後の改善で整理するとつかみやすい
  • 用語はJISの定義を「いつ手を入れるか」で並べると覚えやすい
  • 力を証明する代表的な資格は国家検定の機械保全技能士

機械保全は、工場の設備を陰で支える、なくてはならない仕事です。まずは身近な設備の点検表を一度じっくり眺めて、何を確かめているのかを知るところから始めてみてください。

機械保全技能士ドットコム

機械保全技能士ドットコム 編集部

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