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工場で「TPM活動」という言葉を聞いて、何のことか分からないまま参加している。そんな方も多いはずです。
結論から言うと、TPMは「全員参加の生産保全」と呼ばれる活動で、災害・不良・故障などのあらゆるロスを、職場の全員で未然に防ぐ仕組みづくりです。保全担当だけの仕事ではなく、製造現場も含めた全員が担い手になります。
この記事では、TPMの意味と目的、現場と保全担当の分担、機械保全技能士との関係をお伝えしますね。
TPMとは?全員参加の生産保全をひと言でいうと
TPMは、1971年に日本プラントメンテナンス協会(JIPM)が提唱した活動で、「全員参加の生産保全」と呼ばれています。設備を適切に維持・改善して、故障や製品不良、作業のムダなどのロスをなくすことを目指します。
TPMは英語の頭文字をとった略語で、日本語では「全員参加の生産保全」と呼ばれています。提唱したのは、機械保全技能検定も行っているJIPMです。
JIPMは、TPMを次のように説明しています。
生産システム効率化の極限追求(総合的効率化)をする企業の体質づくりを目標にして、生産システムのライフサイクルを対象とし、”災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ”などあらゆるロスを未然防止する仕組みを現場現物で構築
出典:公益社団法人日本プラントメンテナンス協会「TPM」
言葉は硬いですが、言いたいことはシンプルです。「事故も不良も故障も、起きてから対処するのではなく、起きないように職場ぐるみで仕組みを作ろう」ということなんです。
JISでのTPMの定義
TPMは、JIS(Z 8141)の生産管理用語にも載っています。おおむね「生産システムのライフサイクルを対象とし、全部門にわたって全員が参加し、ロス・ゼロを達成する生産革新活動」と定義されています。
JIPMの説明にもJISの定義にも、「全員」「ロス」「未然に防ぐ」という考え方が共通して入っていますよね。ここがTPMの芯の部分です。
TPMを「目的・担い手・保全担当の役割」に分けて見る
TPMは「目的(ロスをなくす)」「担い手(全員)」「保全担当の役割(専門的な保全と改善)」の3つに分けると、全体がつかみやすくなります。
『TPMって範囲が広すぎて、結局何をすればいいのか分からない』と感じますよね。そこで、この記事ではTPMを3つの面に分けてみました。分け方はこの記事独自のものです。
| 面 | 中身 | 現場で言い換えると |
|---|---|---|
| 目的 | 災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロなど、あらゆるロスの未然防止 | ケガ・不良品・設備の停止を起こさない |
| 担い手 | 全部門にわたる全員の参加 | 製造・保全・技術・事務など、職場の全員 |
| 保全担当の役割 | 設備の適切な維持・改善 | 点検・修理に加え、壊れにくい設備への改善 |

目的は「ロスをなくす」こと
TPMの目的は、設備をきれいにすることや点検表を埋めること、そのものではありません。JIPMの説明にあるとおり、故障・製品不良・作業のムダなどのロスをなくすことが目的です。
点検や清掃は、そのための手段なんですね。活動の意味が見えにくくなった時は、「これはどのロスを減らすためか」に立ち返ってみてください。
- この活動は、どのロス(災害・不良・故障・ムダ)を減らすためのものか
- 自分の担当の設備で、いつもと違う所に気づけているか
- 気づいたことを、誰にどう伝える決まりになっているか
- 同じ不具合が続いていないか
担い手は「全員」
TPMのいちばんの特徴は、全員参加であることです。保全の部署だけでなく、設備を毎日動かしている製造現場の人も、TPMの担い手になります。
厚生労働省の職業能力評価基準(保全)でも、専門の保全スタッフを置かず、製造ラインの熟練技能者が保全業務を兼務するケースも少なくないとされています。製造と保全の境目は、職場によってもともとはっきりしていないこともあるんです。
自主保全と保全担当の分担はどうなっている?
TPMでは、一般に、設備を使う製造現場の人が自分たちで行う保全を「自主保全」と呼びます。保全担当は、専門的な点検・修理や保全計画づくり、改善を受け持つのが分担の一例です。具体的な線引きは会社によって違います。
TPMの話でよく出てくるのが「自主保全」という言葉です。設備を使う人が、自分の設備を自分たちで守るという考え方として使われています。
では、保全担当は何をするのでしょうか。厚生労働省の職業能力評価基準(設備保全)に書かれた保全担当の仕事をもとに、分担の一例を表にしてみました。
| 場面 | 製造現場(自主保全) | 保全担当 |
|---|---|---|
| 毎日 | 自分の設備を使いながら、いつもと違う所に気づいて伝える | 日常点検・パトロール点検で設備の状態をつかむ |
| 計画 | 自分たちでできる点検を続ける | 保全計画の作成、定期の点検・修理 |
| 異常の時 | 異常に気づいたら早めに知らせる | 異常時の対応措置、修理、原因の究明 |
| その後 | 再発しないよう、気づいた点を出し合う | 機械履歴簿の作成、再発防止策、改良 |

この表はあくまで一例です。どこまでを製造現場が受け持つかは、会社や職場のTPMの進め方で変わります。
現場と保全担当がつながるとロスが減る
例えば、こんなやりとりが生まれる職場は、TPMがうまく回り始めているサインかもしれません。
「今朝からこの設備、少し音が大きい気がします」
「教えてくれて助かる。止まる前に見ておくね」
製造現場の「気づき」と、保全担当の「専門の目」がつながることで、故障の前に手を打てるんですね。
保全担当から見たTPMの役割
保全担当にとってのTPMは、修理の腕を振るう場面だけではありません。JIS(Z 8141)には、故障が起こりにくい設備への改善を目的とした「改良保全」や、設備の計画・設計の段階から故障の原因を取り除く「保全予防」という言葉があります。
ロスを未然に防ぐというTPMの考え方は、こうした「壊れにくくする」保全とよく重なります。直すだけでなく、壊れない仕組みを考えるのも保全担当の大事な役割なんです。
保全の種類との関係は予防保全・事後保全・予知保全の違いで紹介しています。
TPMと機械保全技能士・自主保全士の関係
TPMを提唱したJIPMは、国家検定である機械保全技能検定の指定試験機関でもあり、自主保全士の認定も行っています。機械保全技能士は保全担当の専門の力を、自主保全士は自主保全の力を示す資格と考えると、TPMの中での位置が見えてきます。
『TPMの活動と、機械保全技能士の資格は関係あるの?』と気になる方も多いはずです。実は、どちらもJIPMが深く関わっています。
JIPMは機械保全技能検定の指定試験機関で、合格すると機械保全技能士と名乗れます。また、JIPMのTPMのページでは、JIPMの「自主保全士認定」が紹介されています。
| 資格 | どんな資格か | TPMの中での位置のイメージ |
|---|---|---|
| 機械保全技能士 | 職業能力開発促進法に基づく国家検定(技能検定)。JIPMが指定試験機関 | 保全担当の専門的な点検・修理・改善の力 |
| 自主保全士 | JIPMの認定 | 設備を使う人の自主保全の力 |
厚生労働省の職業能力評価基準(設備保全)でも、関連する資格・検定として、機械保全の技能検定とあわせて自主保全士が挙げられています。2つの違いや取る順番は、自主保全士と機械保全技能士の違い|目的と取る順番で詳しく比べています。
製造現場で自主保全に取り組んできた人が、もっと設備のことを知りたいと感じることもありますよね。機械保全技能士の3級は、JIPMの案内では実務経験を問わずに受けられるので、最初の一歩にしやすい資格です。
3級の受検資格や試験の中身は機械保全技能士3級とはで紹介しています。
機械保全技能士の特級の学科・実技の科目には、工程管理・作業管理・品質管理・原価管理・作業指導・設備管理などが並んでいます。現場をまとめる立場で、設備とロスを管理する力が問われる級なんです。
TPMでよくある相談
知恵袋では「TPMの意味や略は?」「16大ロスの項目を知りたい」「TPMとQCの違いは?」という相談がよく読まれています。公式の情報で答えられる範囲でお答えしますね。
相談1「TPMって、何の略?どういう意味?」
工場で働く方から、とても多く読まれている相談です。TPMは英語の頭文字をとった略語で、日本語では「全員参加の生産保全」と呼ばれています。
会社の作業表や掲示物にTPMと書かれていたら、この活動の一部だと考えてください。意味は、この記事で紹介したJIPMの説明のとおりです。全員で、災害・不良・故障などのロスを未然に防ぐ仕組みを作る活動、と覚えておけば大丈夫ですよ。
相談2「TPMの16大ロスの項目を全部知りたい」
これもよく読まれている相談です。ただ、この記事では、ロスの細かな分類の一覧は載せていません。JIPMのTPMの紹介ページには一覧が載っておらず、この記事では公式に確かめられた範囲だけをお伝えしているためです。
社内のTPM活動で使う場合は、会社で使っている教材やTPMの推進担当に、一覧と定義を確かめてみてください。職場ごとに使う資料に合わせるのが、いちばん確実です。
相談3「TPMとQCの違いは?」
『どっちも改善活動でしょ?』と思いますよね。TPMは、JIPMの説明では、設備の適切な維持・改善でロスをなくすことを目指す活動です。
一方のQCは品質管理のことで、機械保全技能士の特級でも「品質管理」は独立した科目になっています。どちらもロスを減らす活動ですが、TPMは設備を軸に、全員参加で進めるのが特徴です。
TPMを「保全部署が進める活動」だと思ってしまうこと。TPMは全員参加が前提なので、製造現場の気づきが欠かせません。逆に、自主保全だけで保全担当が関わらないのも、専門の目が届かなくなります。
TPMの考え方を知ると、『設備の改善にしっかり取り組んでいる工場で働いてみたい』と感じる方もいるはずです。今の職場で上の級を目指す道も、保全に力を入れている工場の求人を見比べる道もあります。
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よくある質問
TPMの生産保全とは、どういう意味ですか?
TPMは「全員参加の生産保全」と呼ばれ、設備を適切に維持・改善して、故障や不良、作業のムダなどのロスをなくすことを目指す活動です。保全部署だけでなく、職場の全員が参加するのが特徴です。
TPMと自主保全は同じものですか?
同じではありません。TPMは職場の全員でロスをなくす活動全体のことで、自主保全は、一般に設備を使う人が自分たちで行う保全を指す言葉として使われます。自主保全はTPMの中で行われる取り組みの一つと考えると分かりやすいです。
TPMはいつ、誰が始めたものですか?
JIPMの説明では、TPMは1971年に日本プラントメンテナンス協会(JIPM)が提唱しました。JIPMは機械保全技能検定の指定試験機関でもあります。
TPMの活動に機械保全技能士の資格は必要ですか?
TPMは全員参加の活動なので、資格がなくても参加できます。保全担当として専門の力を示したい場合は、国家検定の機械保全技能士が目安になります。
まとめ
- TPMは1971年にJIPMが提唱した「全員参加の生産保全」
- 目的は、災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロなど、あらゆるロスの未然防止
- 担い手は全部門の全員で、製造現場の自主保全と保全担当がつながる
- 分担の線引きは会社によって違うので、職場の進め方を確かめる
- 機械保全技能士は保全担当の専門の力、自主保全士は自主保全の力を示す資格
TPMは、職場の全員で設備とロスに向き合う活動です。まずは自分の職場の活動が、どのロスを減らすためのものかを確かめるところから始めてみてください。





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